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頑張ってください
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語り:陸上部三年 田沼健太
やはり地球は滅亡するのか…
最後の晩餐はどうしよう…
購買の焼きそばパンか、ラーメンか、やっぱ最後くらいは母ちゃんの手料理を食うべきか…
いやいや、落ち着け俺。
とりあえず目の前の情報を正確に処理してから晩餐のメニューを決めよう。
俺は部室に向かってた。
三年生になってすぐ。
つまり春だ。
だんだんあったかくなってきて、気分が良くて。
そうそう新曲も出来た。
春ぅの匂いは柔らかでーなんだかウキウキほんのりワクワクー
つってな!
だから気分が良かったんだ、ホントに。
そしたら目の前を井上が横切った。
声掛けようとしたけど様子がいつもと違って、なんか顔赤くして、俺緊張してます!ってのが全開だった。
何してんのかなって思ったんだ。
そしたら、なんと井上のすぐ後ろを女子が歩いてた。
しかも入学早々可愛いって名前を馳せた一年の…名前忘れたけど有名な子。
その子も顔赤くして俯いてて…
考えられるパターンは3つ。
1、井上がその子を呼び出した。
でもこの線は薄いと思う。その子の事を好きだとか可愛いとか、そんな事は一度も言ってなかった。
2、その子が井上を呼び出した。
この線はもっと薄いと信じたい…秋月や緒方を差し置いて井上に行く女子なんているのか…いや、好みは人それぞれだけどね。
3、偶然二人共顔赤くして歩いてるだけで、実は全く関わりがない。
このどれかかな…
とりあえずついてくしかないよな。
うん、春だしな。
校舎の脇に来た所で二人揃って足を止めた。
パターン3の可能性は消えた。
井上のこんな顔見た事ないんですけど…大会前より緊張してない?
「それであの…なんの用でございましょうかな…」
井上日本語おかしいだろ…ございましょうかなってなに…
ん?て事は?!パターン2確定?!マジで?!
やっぱ晩餐のメニュー決めとかないとマズイな…
母ちゃんの手料理ってもオムライスとかハンバーグならいいけど、焼き魚とか野菜炒めなら後悔が残りそうだし、献立確認してからにするか…
「すみません…こんな所まで来てもらってしまって…」
この子すげー可愛いな。名前忘れたけど。
「いえいえ、そんなそんな。大丈夫でございましてよ」
どこのお嬢様だよ?!
「それであの…この手紙なんですけど…」
ラブレター?!この美少女が井上に?!
ああああ…もう焼き魚でも野菜炒めでもいいや…最後くらい母ちゃんの手料理に決めた…
「分かりました!拙者の返事はもう決まっておりますですので!」
拙者ってなんだよ?!おりますですのでってなんだよ?!
キャラブレっブレじゃねぇかよ!
早まるな美少女!
「ありがとうございます!じゃあよろしくお願いしますね!」
「イエス!マイエンジェル!」
マイエンジェルってなんだよ?!敬礼のポーズすんな!
あーあ…美少女は走り去る姿まで可憐だな…
なんだよもう!くっそがぁぁぁぁ!!
「井上っ!!」
「田沼っ?!ビビらせんなよ!」
「この裏切り者めぇぇぇ!見せろ!俺にも読ませろ!」
「ふざけんな!人生初ラブレターだぞ!もったいないだろ!」
「あっ!逃げんな!」
井上は県大会出場経験者だ。
普段こんなでも足はめちゃくちゃ早い。
悔しいけど追いつけない…!
「井上っ!待てっ!もう逃げられねぇぞ!」
部室のドアを開け放つと、井上が緒方の後ろに隠れる瞬間が見えた。
「えっ…?なに…?」
「緒方…そこどけ…」
「えっ…?」
「緒方!どかないで!」
「えっ…?俺どうすればいいの…?秋月助けて…」
「……え、頑張ってください緒方さん」
「えっ…?山梨助けて…」
「頑張ってください緒方さん」
「えっ…?瀬川…」
「頑張ってください緒方さん」
「えっ…?渡辺…」
「おー頑張れ緒方」
「渡辺!そこは流れ崩すんじゃねぇよ!」
「こんな時でも田沼のツッコミブレねぇ!」
そうだろ山梨!俺だからな!
「頑張ってください緒方さん」
「渡辺遅いから!」
「ブレねぇな!なに?どした?」
「聞いてくれ山梨!井上がラブレター貰ってた!一年の美少女に!」
「その子目悪いんじゃない?」
「なんだと瀬川!いいだろ?!好みは人それぞれだ!」
「まぁ落ち着け。井上出てこい」
渡辺ってホント落ち着いてるよな…
「とりあえず見せてみろ。そのラブレター。気になるだろ?」
あれっ…?渡辺ってそういうキャラでしたっけ?
「チラッとだぞ!封筒だけだぞ!」
「分かった分かった…」
ん?
「………秋月先輩へって書いてあるな…」
「なんだよそういう事かぁ…」
「田沼っ!なに安心してんだよ?!俺弄ばれた!」
「好みは人それぞれだよ井上」
「瀬川ヒドイ!」
なんだ…やっぱりか…
「秋月っ!ほらよ!このイケメンモテ男が!」
「あ、はい。ありがとうございます」
まぁこうなるとここで騒いでるヤツより心配なのが…
あーあ…やっぱ顔死んでる…
「頑張ってください緒方さん」
「渡辺っ!タイミング絶妙!」
「………うん」
「……なんで緒方さん急に元気なくなったんですか」
お前がラブレター貰ったからだよ!
「まぁ秋月は気にしなくて大丈夫だよ」
「はぁ…頑張ってください緒方さん」
秋月?!ここでノッてくんの?!
「………うん」
まさかのパターン4か…
てか確かにこのパターンが一番濃厚だったよな…
春だからって浮かれてたかも…
春だからぁって浮かれちゃダメよ
うん、また新曲出来た。
緒方が秋月に告白をする、えーっと…よく覚えてないけど何日か前の出来事だった。
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