アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
高跳び一年生の悲劇
-
語り:陸上部一年 柴田
「柴田悪い。そこのゴミ箱の中身捨てといてもらっていいか?」
「はい!分かりました!」
午後練開始前の部室。
渡辺さんに言われてゴミ箱の片付けをする事になった。
確かゴミの倉庫が閉まるのって四時とかだった気がする。
「渡辺さん、部活前に捨てに行ってきちゃってもいいですか?」
「もちろんだ。悪いな…」
「大丈夫ですよ!」
アップ始まる前にささっと行って来ちゃお。
「柴田!俺も付き合うよ」
「田中!ありがとう!」
「あ、俺も行く!体力つけたいし、走ろうぜ!」
「飯野エライ!じゃあ走って行こう!」
ゴミ箱抱えてダッシュだ!
あっ!前から来るのは!
「緒方さん!秋月さん!お疲れ様です!」
「おーお疲れ!三人でどっか行くのか?」
「はい!ゴミ倉庫まで!」
「俺行って来ようか?」
「いえいえ!秋月さんにそんな事させられません!行ってきます!」
秋月さん優しい!
また走り出す。
「緒方さんと秋月さんて仲良いよね!」
「まぁずっと二人で高跳びしてたしな!お互い尊重し合ってる感じがさ、信頼関係って感じで憧れちゃうよな!」
確かに田中の言う通り。
二人並んでるとさ、カッコイイって言うか、オーラがあるって言うか…
なんか特別な絆みたいのがあってさ…
最近また一段と絆が深まったように見えてさ…
とにかくカッコイイんだよね…
「柴田危ないっ!」
「えっ?」
あっ…やばい…!
と思ったけど時既に遅し。
段差につまずいて盛大に転んでしまった…
「大丈夫か?!」
イテテ…
「ごめん…飯野ありがとう…」
「……なぁ…これなんだと思う…?」
「え?なに?」
田中の声に振り返る。
あー…ゴミ箱の中身ぶちまけちゃった…
……ん?
何かが書いてある…?
「………なんかの動物かな…」
でも細かくビリビリに破いてある…
「あっ!これとこれ繋がるぞ!」
「えっ?!どれどれ?!」
動物の身体の一部…?
「あっ!ヤバイの見つけた!」
今度は飯野が大声上げた。
「なになに?」
「井上さんの小テストだ…数学…18点…」
「……小テストって三年生は100点満点じゃなくて20点満点とかなのかな…」
いや…丸の数が圧倒的に少ない…
というかね、何がすごいってね、名前だよね…
井上章一じゃなくて「井上しょーいち」って平仮名だよ…
「こっ!これ絶対見たらダメなやつだよね!」
「そっ!そうだな!三人だけの内緒な!」
うんうん!田中の言う通り内緒にしておこう!
「で、この動物みたいなのが気になるんだけど…」
俺もだよ田中…
「ちょっと繋げてみちゃう…?」
「よし!アップ始まっちゃうし急いで繋げてみよう!」
飯野の声を合図に、一心不乱に切れ端を集めて繋ぎ合わせる。
「あれ?みんなで」
「「なにやってんの?」」
「清人!理人!いい所に!ちょっと手伝って!」
「なになに?」
「パズル?」
どっちがどっちの声か分かんないけど、それどころじゃない!
柴「これここじゃない?」
田「ぴったりだな!この棒みたいなのどこだ?」
理「足…?」
清「足にしちゃ細すぎだろ…風速1mで折れそうじゃん…」
飯「なんかこれ身体っぽいけどブツブツしてるな…」
柴「この生物一体じゃないのかな…二体いるっぽくない?」
田「ホントだ…生物なのか謎だけど…」
笹「あれっ?ねぇなにやってんの?」
柴「笹倉!笹倉も手伝って!」
笹「え?なになに?」
飯「これ口っぽいよな…笑ってるし…」
田「でもこれも口っぽいよ?」
理「これやっぱ足だよね…」
柴「足っぽいね…」
笹「えっ…?これ動物…?なんか新種の生物でも発見されたのかな…」
清「これも口っぽくない?口三つ?」
田「こいつ病気なのかな…」
笹「蕁麻疹出ちゃってるよね…」
柴「風邪引いて寒くて鳥肌なのかもよ…」
田「柴田優しいな…シチュエーション細かいけど…」
飯「これまつ毛…?」
理「長すぎるだろ…」
清「でも位置的にまつ毛じゃん…?」
田「なんか優しい表情はしてるよね…」
笹「確かに…」
柴「こっちも蕁麻疹か風邪じゃない…?」
飯「これたけのこ〇里…?」
田「さぁ…」
理「これさ、四足歩行を二足歩行に変えた跡がない…?」
清「お前余計な事に気づくなよ…怖いだろ…」
柴「で………出来た……」
なんだこれ…
田「なんかブラクラ的な感じだな…」
柴「なんでこんなのがうちの部室に…?」
清、理、笹「「「これうちの部室にあったの?!」」」
柴「うん…」
双子だけじゃなくて笹倉もシンクロしちゃったよ…
田「三年生かな…」
笹「ふざけて書いたんだよきっと…」
飯「だよね…こんな生き物いないし…」
柴「夢に出てきそう…」
理「もしくはなんかの儀式とか…」
清「お前怖い事言うなよ!」
笹「でも儀式だったりして…降霊術的な…」
しーん………
柴「とっ!とにかく早く捨てて戻ろう!アップ始まっちゃう!」
田「そっ!そうだな!これも俺らだけの秘密な!」
笹「”これも”ってなに?」
田「あっ!なんでもない!なんでもないよ!」
田中危ない!
井上さんの小テストは内緒にしなくちゃ!
慌てて集めてなんとか倉庫に押し入れる。
急がないとアップ始まっちゃう!
「走ろう!」
部室棟に着くと、山梨さんと田沼さん、瀬川さんが階段を降りて来た。
「みんな揃ってどうしたの?」
「ちょっとゴミ捨てて来ました!」
「高跳び一年全員でか?」
「いやっ!それは…偶然会ったというか…」
山梨さんて鋭いからな…
でも逆にさっきの知ってたりして…
「あの…山梨さん…」
「ん?」
「なんか最近謎の動物とか描きました…?」
「……謎の動物…?」
やっぱ知らないか…
「山梨…もしかしてアレの事じゃね…?」
「アレ…?」
田沼さん知ってるのかな。
「アレだよ山梨…間違いない…」
瀬川さんも知ってる?
山梨さんは少し考えるような顔をして、急に手を叩いて笑い出した。
「アレか!そんでゴミ箱な!なるほど!」
三人共ゲラゲラ笑ってる…
「あの…あれって誰が描いたんですか…?」
「見ちまったなら仕方ねぇか。あれはな、一種の儀式みたいなもんだ。ある意味降霊術的な感じだな」
「「「「「「降霊術?!」」」」」」
「六人シンクロすげぇ!」
「田沼さん!笑ってる場合じゃないですよ!」
怖い!
「いいかお前ら」
山梨さんが急に真剣な顔をした。
「あれはな、色んな意味で実力を持ったやつが、本気で描いたキリンとゾウなんだ」
「キリン?!ゾウ?!」
あれが?!
「そうだ。あれは俺達に爆笑の神を降臨させてくれた…」
山梨さんの話しが全然頭に入って来ない…
田沼さんと瀬川さんはまだ笑ってる…
キリンなんだ…
ゾウなんだ…
じゃああの足の細いのがキリンで、二足歩行のがゾウ…?
理「やっぱ儀式だったんだな…」
清「理人が正解だったな…」
田「忘れよう…儀式とか怖すぎる…」
笹「そうだな…」
飯「三年生ってやっぱ変わってるね…」
田「変わってるというか…真顔で話す山梨さんと、笑って聞いてる田沼さんと瀬川さんとか相当怖いよ…」
理「ていうか捨ててよかったの…?」
清「だからお前余計な事に気づくなっての…元々捨ててあったんだし平気だろ…多分…」
柴「うん…転んでごめん…」
すごいいけないものを見た気がして気が重い…
「なんか身体重い気がする…」
「「「「「俺も…」」」」」
またシンクロしちゃったよ…
「もしかして呪い…?」
「理人!怖い事言うなっての!」
「みんなどうしたの…?」
「秋月さん…ちょっと色々ありまして…」
「ホントお前らどうした?元気ねぇぞ?」
「緒方さん…世の中には知らない事がたくさんあるんですね…」
緒方さんと秋月さんは、目を合わせて不思議そうに首を傾げた。
憧れてやまない大好きな先輩方…
その圧倒的なオーラでどうか除霊してください…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 59