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□□□□
「あ」
研究室のドアを開けると、そこには何故か女モドキがソファにカップ片手に座っていた。そいつのことはよく知っていて、ていうか幼馴染みだ。
俺は思わずマヌケな声を出して部屋の手前で立ち止まる。
女モドキはこちらに気がついてよっ、と手を挙げた。
「なにがよっ、だ!!なんでここにいる!」
「うっせぇ、私がどこにいよーと関係ないでしょ」
「おうおうそういって何回俺のアパート来ちゃ冷蔵庫荒らしてった!?」
「細かいこと気にしてっとはげるぞ」
「………余計なお世話だぁっーー!」
あほらし………
なんで俺がこいつ如きに大声出さなきゃいけないんだ…
ともあれ俺はデスクのPCを起動させつつ一応尋ねた。
「なんで入れた?鍵はしてあったろ」
「私の特技ピッキング」
あぁそうかよ!有、お前にまともな回答を求めた俺が馬鹿だった!
だん!と机に拳をうち付ければ後ろでゲラゲラ笑い声が聞こえる。俺はそれを盛大に無視して気を取り直し講義の準備を始めた。とりあえず今日は川端康成と太宰治の攻防戦だな。
キーボードを叩いていると画面と俺の目線の間に何かが滑り込んできた。見ればそれはスマホで画面には寝顔の辰綺が写っていて
「はぁ!?なんで!?」
「こないだマコちんが送ってきたんだよー。なんか、久しぶりに服買いに出かけたら会ったって。こいつ、あのバーの常連だろ?」
「まぁ、そうだ…それがどうかしたか?」
「つーかお前んとこの辰綺だろ。これ。私は知ってんだからな、お前が何してるか、何やったか」
「………だったらなんだよ」
「幼馴染み同士で三角関係作ってんじゃねぇよ。それを言いに来たんだ、今日は。マコちん、こいつのこと抱いたんだろ?」
あぁと頷く。
さいっあく、と有が呟くが、それは俺が一番言いたい。なんで慎と辰綺取り合い合戦みてぇなことをしなきゃなんねーんだ。
…慎が電話をしてきた時、あのバーに行ったと聞いた時、龍の刺青があると言った時。
俺は慎が会ってホテルに行ったという男が誰かわかった。
シンは辰綺の前の名前。
言わないで、呼ばないでと懇願してくるからすっかり忘れていた。
シンは辰の別の読み方。
泣き腫らした目を見て、その次に見たのは黒い龍。掠れた声は笑い声をつくって消えたのを覚えている。
「だけど、安心しろよ有」
覚えているけどそれはただ覚えているだけにすぎない。
「俺とあいつは終わってる。今更復活しねーよ。ゴジラじゃあるまいし」
「…………魔人ブウの方がいいと思うけど、ゴジラより」
「………ツッコむのそこかよ…」
てか。
お前が飲んでるそれ。
「俺のコーヒー!!!!新作出たから買ったのになんでてめぇが飲んでやがんだこの野郎!!!!」
この部屋のもん俺の許可無しで自由になると思うなよっ
俺は自由だけど!!!
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