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蒼弥に背中を押された俺は
『…みな…と?』
目の前の薄い金色の髪をした男に声をかける。
俺に名を呼ばれた男は
『そうです』
と言って頷く。
2年前、黒髪でいかにも優等生。
という風貌だった俺の想いを寄せる人物は
『髪…金に染めたんだな…』
太陽の光を優しく浴びながら頷いたあと、
『先輩は赤色に染めたんですね』
聖西第三高校の濃い青のブレザーを纏った湊は
優しく微笑む。
『…っ…』
その微笑みに俺は思わず息を飲む。
そんな俺に湊は
『陽向先輩?』
と言って一歩俺に歩み寄る。
その結果俺は、一点気づいた。
『もしかして背…伸びた?』
2年前より近くに来る湊の身長に驚く。
『はいっ!2年前から15センチほど』
と言って、湊は右手の人差し指と親指で
15センチほどの空間を作る。
『どおりで視線が近いわけだ』
2年前は150センチ程度と、かなり小柄だったはずだ。
まぁ、当時俺も165センチしか無かったが…。
お互い背も伸びて
今、俺の隣に並んでも大差ない。
『それでも先輩にはもう少し足りませんね』
と言って、湊は俺の頭に手を近づける。
『あと10センチほどか…いや…もしまだ成長期ならどうだろうな』
クックッと喉で音を鳴らすと
『ねーっ!俺たちのこと忘れてないーっ⁉︎』
と言ってオレンジ色のメッシュを入れた小柄な男が湊の後ろから抱きつく。
その姿を捉え俺は
『ぁ、幸人っ』
『ハローッ!陽向さんっ』
元気ーっ?と付け足し、幸人は俺を見上げる。
『ぇ?さっきも思ったけど幸人君と陽向先輩知り合い?』
と湊は幸人に向き合う。
『そうだよーっ!蒼弥さんと陽向さんよく一緒にいるからさーっ』
と笑顔で湊に答える。
それを気に
『まさか、コッチの制服で現れるとは思いもしなかったでしょ』
とニヤニヤしながら俺より背の高い蒼弥は
俺の学ランを指差し
湊に話しかける。
『ぇ…えぇ。聖西第三って書かれた紙を渡されたので僕はてっきり…』
『てっきり?』
『陽向先輩は、中学一の問題児て伺ってたんですけど、とても頭が良かったんだと感心してたんです』
その発言に
『ぶはっ‼︎』
蒼弥が堪えきれず噴き出す
『ぁっ!蒼弥!笑うなよ!』
俺は蒼弥に向き合い声を張り上げ、振り被る
『ぉっと。甘いな』
と言って、蒼弥は俺の振りかぶった右手を掴む。
『ぁーっ!陽向さんっ、蒼弥さんに怪我させないでよーっ‼︎』
そんな俺らのやりとりに
『笑うなよ湊…』
『だって、陽向先輩賑やかなんですもん』
ぁーおかしい。と付け足し湊が笑う。
そんな湊に対し、俺の腕を掴んだまま蒼弥が
『…で?湊君がこの高校に進学したのは、コイツを追いかけるためなんだよな?』
『ぇ…ぇっと…その…』
問いかけられた湊は顔を真っ赤にして俯く。
『ぁ、蒼弥さんっ‼︎そういうのは2人の話!』
と幸人が割って入る。
『…いや、コイツがヘタレで聞かないんだろうと思ったからさ』
『誰がヘタレだ!』
俺は蒼弥に突っ込む。
『聞きたくても、俺らがいたら聞けないと思いますよ』
と言って幸人は蒼弥の腕を引っ張る
『…それもそうか』
蒼弥は俺の手を離し幸人に引っ張られるがままになる
『ぇ、蒼弥!どこ行くんだよ』
俺が問うと
『ちょっと、その辺ぶらっとしてきまーす』
と幸人が答え
そのまま2人は俺らの前から居なくなり
俺と、湊が校門前に取り残されたのだ。
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