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1学期 ・ その4
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俺は気づいたらキスをされていた。
静かなキスだ。理解力が追いつかない。
ハッと我に返る。
「ーおいっ、やめろよ!」
柳沢を押しのける。
「嫌ですよ」
「だから、やめろって、ん…」
再び唇が重なる。
(あの時みたいに…、俺は流されるのかッ!?)
その時
ーコンコン
「!?」
「あのぉ、桜井先生?いらっしゃいます?」
声の主は山口先生だ。助かった。
「居ます!居ますよ!」
今度こそ柳沢を俺の体からどける。
「あぁ、良かった〜、鍵が戻ってなかったんでまだいるのかな〜っと思って」
ーガラッ
そういって山口先生は部活のドアを開けた。
「すみません」
「いいんですよ、おや?柳沢君も一緒だったんですか?」
「すみません、山口先生、桜井先生から色々話を聞いてたんですよ」
そう言っている柳沢の目は笑っていない。
とにかく助かった。山口先生が来ていなければあの日と同じことを繰り返すとこだった。そう、あの日のようにーー
「そうだ、桜井先生、一緒に駅まで行きません?」
「あぁ、いいですよ」
「柳沢君はどうします?」
「いえ、僕は自転車なので」
良かった。こいつのことだ、いつしか俺の家まで着いてくるのではないか?
「そうですか、じゃあ準備して帰りましょう!」
「はい、そうですね」
「じゃあ僕は失礼します。さようなら」
颯爽と柳沢は去っていく。
「はい、さようなら。それじゃ私たちも帰りましょうか」
「…はい」
疲れた。とにかく疲れた。明日は学校に来たくない。
少し生暖かい気温の夜に対し、月の姿はとても澄んでいた。
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