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目が覚めたら……。
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木の板をひたすら叩き続けると、両手が段々と疲れてきた。
な、何か使える物はないか……?
乱れた息をしながら、自分の着ている服のポケットを手で探った。探るとそこでハッとなった。後ろのズボンのポケットに何故か携帯電話が入っていた。それが自分の物なのかさえこの暗闇の中では確認できない。震える手で携帯電話を持つとそれは折り畳み式のだった。
あ、この携帯電話は俺のだ……!
じゃあ、俺を連れ去った奴がこれを取り忘れたのか……!?
そんなことを考えながらも、俺は真っ先に携帯電話を開いた。そして、直ぐに助けを求めた。誰でもいいから電話をしようとした。電話帳を開くと、一番上に兄貴の電話番号があった。そこに電話をかけても、何故か繋がらなかった。
何でこんな時に繋がらないんだよ……!?
兄貴に電話をするのを止めると、他に誰かいないのか電話帳のリストを調べた。すると二番目に親友の名前があった。俺は迷わずに親友に助けを求めた。電話をかけると親友の真樹が出た。
「おう、どうした悠真?」
「真樹か!? 俺だよ、悠真だ! 聞いてくれ、箱の中に閉じ込められた!」
「箱~? 何言ってるんだよ急に? それよりもお前、今日も講義サボったな。 二日もサボって何やってるんだよ。次こなかったらレポート見せてやらないからな。それにバイトを無断で休んで、何考えてるんだよ。店長マジで怒ってたぜ?」
「そっ、それどころじゃねぇんだよ……! 真樹、頼むから聞いてくれ…――!」
「あ、わりぃ。女待たせてるから電話切る。またあとでかけてくれ、じゃあな!」
「た、頼むから切るなよ……!」
電話越しで怒鳴ると受話器の向こうから、女の声が聞こえてきた。
「ねえ、何やってるの真樹~? 電話なんかやめて早くしようよ?」
女は誘惑混じりな声で真樹の事を誘っていた。受話器の向こうからは、いきなり女の乱れた厭らしい声が聞こえてきた。
「アッ……」
「ン……」
「アッ……」
女の喘ぎ声は徐々に漏れていた。真樹は、俺の電話に出る事もなく。女に夢中になっていた。
「何やってるんだよ真樹、親友よりも女かよ!?」
電話はそこでプツリと途絶えた。よくみると携帯電話のアンテナが全部立っていなかった。そして、いきなり携帯電話は圏外になっていた。
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