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破裂
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再度それが起こったのは
丁度、兄さんがバスケの全国大会で家を
数日空け、母も遠方の親類の
法事ごとで自分だけ出れば済むからと
不在の時だった。
たまたま父の知り合いが、久々に
近くに寄ったからと父に酒を勧め、
俺が見た時には一旦は断っていたのに
良い酒だからとの誘いでも
受けたのだろうか乗ってしまったようだ。
陽気な話し声からやがて怒号に
変わり、階下からの激しい物音が
聞こえだした頃、俺の脳裏に
かつての恐怖が蘇ってきた。
恐る恐る下に降りてみると
想像以上の惨状で、ありとあらゆる物が
散乱し壊れ、見るも無残な残骸へと
成り果てていた。
「ひゃ~~ぁぁ!助けてくれ!!
一体どうしたっていうんだ?
い、石川さんっっ!?」
「うるせぇ!!黙れこの野郎!!」
「うわぁ!!!」
多分、この人はこんな父を見たのは
初めてなんだろう。
おじさんは部屋の隅で父を止めることなく
ブルブルと震えていた。
「おじさん!早く出て行って下さい」
「だ、だけど、き、君は……うあッ!」
今にもおじさんに飛びかかろうとする父の
足に飛びついた。
「大丈夫です、慣れていますから。
良いから早く!!」
「離せ!零一っ!!」
「わぁぁ~~!」
「お父さん!もうやめて!!
お願い、お父さんお父さん」
足にしがみついたまま悲鳴を上げて
飛び出したおじさんを見届けると
俺は漸く手を離し、後は
父の感情のままに身を任せた。
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