アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
それは何だ?
-
父が俺の顔を殴らない理由を知ってる。
前に祖母が、
『零ちゃんは本当にお母さんに
よく似ているねぇ。
目元なんかそっくり。
女の子だったらきっと
生き写しになったでしょうに』
母の面影を色濃く残すこの顔だけは
恐らく手を上げることが出来なのだと
例え正気でない時ですら
今尚、母のことを忘れずにいる父には
という事を。
皮肉にもそのお陰で
今まで学校にも周りの人にも
隠し通せてこれたんだけど。
ガタッ。
いきなり開いたドアに驚いて
見るとそこに兄が立っていた。
「チッ、いたのか」
「ス、スミマセンすぐに上がります」
「別に。俺は風呂じゃね……
オイ、腕を見せてみろ」
「あ……!」
力づくでタオルを取られて
その痣を見られてしまった。
「何、イジメとかあってんの?」
「え?……ちがいます」
「じゃケンカか?」
「……ハイ」
俺は腕を取られたまま俯いた。
嘘がバレたらどうしよう。
頭の中でバレませんようにと
呪文のように何度も唱える。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 234