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異変
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「……ふーん」
それが功を奏したのかどうかは
分からないが兄は
急に興味をなくしたとばかりに
掴んでいた腕を外すと、ドライヤーを
手にとって出て行ってしまった。
(怖かった……)
俺はヘナヘナと座り込んだ。
事件はその数日後から始まった。
父は既に何処かで少し
飲まされていたようで帰宅時から
既に異変が起きていた。
普段は公務員だと言われて周囲が
一片の疑いも持たれない程
身なりのキチンとした、どちらかといえば
物腰の柔らかい印象を受ける父が
怒鳴りながら玄関を叩いている。
俺はギョッとした。
知られてしまう。
父が豹変する様をあの二人にも。
当時の俺に誰も自分に見向きもしない
家庭がそんなに大事だったか?と問われて
そうだと言い切れた自信は何処にも
なかったけど。
それでも――自分の唯一の居場所が
壊れていくのが嫌だった。
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