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「何で飲んできたの?」
その言い方に含まれた意味が
母が事前に父の酒癖の事を
聞かされており、それ故
うちで酒の類はお屠蘇はおろか
一切でなかった事を指していたのだと
気がつかなかった。
だから再婚して以来こんな風に
父が変貌せずにいられた理由だったと
今なら分かるだろうその事も。
「るせぇ!!俺の勝手だ。酒を出せ!」
「うちには無いわ」
「じゃ買ってこい!」
父はネクタイを外しながら、
ドガドカと靴のまま部屋へと
上がりダイニングの椅子に腰かけた。
テーブルの上の全てを右手で
薙ぎ払う、その音たるや近所中に
響き渡っているんじゃないかと
思える程だった。
いや、多分
実際そうだったんだろうと思う。
ガシャガシャーッ!!!!
「飲んじゃダメよ」
母の声が震えている。
「口答えするな!」
激昂した父は俺の見ている前で
母を殴りだした。
「きゃー!やめて、アナタ!」
母の悲鳴に足がガクガクと震え
その場で呆然と立ち竦む俺の
瞳にその光景が焼け付いていく。
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