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どっちも大切な人だから
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ある日のこと、例によって
騒ぎ出した父とそれを制しようと
している兄を見て意を決して飛び出した。
「もうやめて下さい、お父さん!!」
いつも助けてくれる兄を俺も庇いたくて
俺は掴み合いをしている二人の間に
割り込んだ。
「どけー!!零一っ!」
「うわっぁぁぁ!!」
でも結果、俺は思い切り払われた
父の手によって吹っ飛ばされた。
兄がそんな俺を見て、父の方に
再度向き直り叫びながら突進していく。
「てんめぇぇーぶっ殺す!!」
「やめてぇぇ」
馬乗りになって渾身の力で
殴る兄に俺は転んだままの姿勢で
その足を掴んでいた。
「……こんな奴、庇うのか?」
「それでも俺の父さんなんです。
本当はとっても優しくて
こんな……人じゃ……な……った」
どんなに酷いことをされても
血まみれの父を目にして
このまま死んじゃったらと思うと
どうしても止めずにはいられなくて。
それに……
もしそうなれば、この兄だって
ただでは済まないことくらい
いくら馬鹿な俺だって分かる。
声に詰まった俺に怒気を削がれ
兄はチッと舌打ちをして
父から離れてくれた。
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