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親子と他人
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「子供ならそこにもう一人いるだろ。
再婚を反対していたのは俺だ。
けど、結婚した以上コイツだって
母さんの息子だろ?
大人なら責任を取れよ。
此処いれば、また殴られると
承知の上で置いていこうとしてるなら
俺は行かない」
「朝輝!良いから来なさい!」
でも、流石にここまでくると
いくら鈍感で小さな子供であったとしても
大体察しがつくというものだ。
―――俺は、いま
置いていかれようとしている。
捨てられるんだ……。
そしたら、
兄さんと呼ばせてくれたこの人とも
もう会えなくなってしまう……?
途端、ゾワリと鳥肌が立つ。
悪寒にも似た何か、途方もない
恐怖と孤独感と共に。
……今でもそう身体が
記憶している程だから当時の
俺の心境はそれ以上だったと思う。
「行かないってんだろ!」
バシィッと強烈な音を伴い
母は兄の頬を叩いた。
俺はハッとして兄を見た。
「朝輝っ!」
それでも怯むどころか
更に強い口調で、
「自分の思い通りにならなければ
殴る、それこそあの男と一緒だ」
「なっ!?」
「違うと言うなら俺に示せよ。
母さん、コイツも一緒だ、だよな?」
その兄さんの態度に母は驚き
しばらく二人は睨み合うように
お互いを凝視していたが、
痺れを切らした母が
俺に振り向き直しイライラした声で、
「……早く貴方も準備してきなさい。
あの男が帰って来る前に家を出るから」
「――ハ、ハイ」
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