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嘘つき
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父が死んで俺の親権問題で
かなり祖母達と揉めていた。
要は母が俺をこのまま自分の子として
手元に置くのを拒んでいた為だ。
戸籍上、養育の義務があるとしても
受け入れがたい心情が母の中に
あったと思う。
父との関係を完全に断つのに
俺という存在が邪魔だったんだ。
この間、俺は祖母の家で
状況がどうなるのか分からなくて
ただ、電話越しで祖母が誰かと
話している所や、知らない人と
うちでなにか話してるのを遠目で
見ていた。
母が俺を引き取りたくないと
言ってるのは知っていたし、
祖母は自分の元に置いておきたいが
その時には既に祖父が病気で
他界していたこともあり、
養育していく能力が無いと
俺に涙を流して謝っていた事を
覚えている。
俺は存在するだけで周りにいる人に
迷惑をかけ疎ましがられていると
分かっていても自分ではどうしようも無くて。
学校へ行く道すがら
ゴミ袋を漁るカラスに目が止まった。
近所の人がそれを見て
罵りながら、カラスを追い払う。
不意に、それを見て涙が止めど無く
出てきた。
“褒めてもらいたい訳じゃない”
―――嘘だ。
嘘ばっかり……
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