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兄の選択
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予期せぬ言葉が耳に強く残る。
原因?
「お前、義弟に気……」
「なぁ、黒田よ」
遮られた言葉の先が
聞こえなかった。
「お節介焼きはお前の美点だと思う。
だがな、押しつけが過ぎるのがどーもな。
……ま、俺はそんな所も含めて
好きだったが」
「ハァ?過去形?」
「それにな、“行けない“んじゃなくて
“行かないの”俺の意思。分かる?
俺の中でバスケはやり尽くしたの、OK?」
「嘘だ!」
「冷禅には黒田、お前一人でいけ。
一年でもレギュラー取れよ、
お前の夢が長く続くよう応援してっから。
今までありがとな、結構楽しかったぜ
……バイバイ」
「だから、なんで過去形なんだよ!?
バイバイとか言うな!!
真壁っ!!この馬っ鹿野郎!!」
兄は俺がいる反対方向から出て行った為に
見つからずに済んだ。
もしあの場で兄と目が合っていたら
俺はどうしたろう。
そう考えるだけで足の震えが
止まらなくなった。
「……夢、簡単に諦めるなよ、
嘘つきの……馬鹿野郎が……」
震える声で泣いていた黒田さんの声が
耳について離れない。
それは今も尚、俺の胸に
突き刺さったまま……
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