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30分の道程
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“兄さん”
唯一の理解者で家族で、兄弟で
そして、そして……
最初は冷たい印象で、相手にしても
貰えなかった。
勝手に……そうだと思い込んでいた。
でも本当は影で俺をいつも見ていて
くれてたんだと思う。
初めて会ったあの時からずっと。
――そんな人なんだと。
一緒に過ごした年月が俺に教えてくれた。
そして兄弟と認めてくれた時から
表立ってそれは顕著になった。
恐らく祖母も死んで天涯孤独の身に
なった俺に同情をしてくれている。
俺はそこに漬け込んできたんだ。
でも、俺はそこまで兄さんに迷惑を
掛ける権利がある?
俺のせいでこの人はこれまで自分が
もっと気付いてない分を合わせても
相当犠牲を払って来たんじゃないかと
思うと恐ろしく思う反面、
あろうことか……
「ただいま」
先に公園を出たはずの兄は
俺よりもずっと後で帰宅した。
真っ直ぐ帰れば五分足らずで帰れる所を
三十分もかけて。
その間、兄が独りで何を考え
どういう気持ちで家へと帰ってきたのか
永遠に知ることは出来ないだろう。
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