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ヒナ
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「今日は英語の授業出るの?」
「うん、勿論」
「大丈夫?」
「ん?もう気にしてないよ。
ある程度予測はしてたし
それに誰だってうっかりはあるだろ」
本当にそうなら良いけど。
四堂君によると降屋先生は
次の日こってり担任の先生から
注意を受けたようで何度も謝られて
困ったよと苦笑いしてた。
「でも、英語は
話さないつもりなんだろ?」
「うん……」
「兄さんも言ってたよ、
災難だったなって」
「……君ってお兄さん大好きなんだね」
「え?うん」
即答したのは真実だから。
だけど……
「何で分かるの?」
「え?逆にソレ聞く?」
だって俺そんな事言ったことあった?と
聞くと四堂君は呆れたように笑う。
「石川君ってお兄さん絡みの話しか
しなくない?」
「……え!?俺、そんなに話してる?」
自覚無いんだ?とまた笑われる。
「うん、ほぼ」
「ごめん、嫌だった?」
「そうじゃない。
俺兄弟いないから分からないけど、
単に知り合いでそこまで兄弟の事
話す人、見たことなくて」
小学生の世界なんて学校と家庭しかない。
友人と呼べる人がいなかった
俺にとって、関心の殆どは
家庭、いやもう正直に言うと
“兄”しかなかった。
だから兄さん以外話題がないと
言われたらそれまでなんだけど。
あんまりテレビも本も読まない自分に
とって兄さんから得る話や情報が
全てで、それで満足していたから。
指摘されるまで気が付かない俺って
ホントどうかしてる。
「ねぇ、それってさ
“刷り込み”って言うんじゃない?
ホラ、雛鳥が初めて見るモノを
親と認識するアレ」
「ヒ、ヒナ!?」
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