アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いつか……
-
その四堂は卒業式を目前に予定を早々に
切り上げアメリカへ戻ってしまった。
だけど、それからもずっと彼とは
連絡を取り合い、お互いに
何でも相談できる相手になっていった。
四堂から親友だと言われた時
もう照れることは無かった。
当たり前だと思える絆が二人の間には
あったから。
人と接することによって良くも悪くも
大なり小なり影響を受ける。
それが生かせるかどうかは自分自身次第。
兄さんの言葉では無いが四堂と出会って
俺は随分変わった気がする。
大人になりたい、いま素直にそう思う。
自分をしっかり持った四堂の親友として
本当の意味で相談に乗れる相手に。
そして――
兄さんに寄りかかるだけの存在ではなく
対等でなくとも恥じないそんな人に。
……俺はなりたい。
そんな折、最終進路提出をめぐって
兄さんの進路問題が母さんとの間で
再燃していた。
「絶対大学へ行きなさい。
高校の時はアンタの希望をきいたでしょう。
今度はお母さんの言う事ききなさい」
「同じことを」
母さんの懇願にも似た頼みを
けんもほろろに一蹴する。
「高専でもなく専門にも行かない。
いきなり就職って何処が雇ってくれる訳?
アンタが思うほど世間は甘くないのよ!」
「体一つあれば何とでも」
「朝輝っ!!」
「…………ヤレヤレ、分かったよ。
母さんがそこまでいうなら仕方ない」
「進学するのね?」
連日の母さんの説得が功を奏してか
ついには兄の方が折れる形となった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
70 / 234