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名残
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頭がボーッとする。
無理して起き上がるとクラクラし
軽い眩暈すらおぼえる程に。
夕べ……あのまま興奮して眠れないかと
思っていが、布団の中に包まって
静寂と暗闇が戻るとアレコレ考えて
いるうちにいつの間にか再び
眠ってしまっていたようだ。
それにしたって、
あんな状況でも人って眠れるもんだなとか
まるで他人事のような妙な感心が湧く。
とはいえ殆ど眠れていない事には
変わりなく倦怠感が半端ない。
「なんか頭、痛い……」
そして思い出して確認すると、
「……ハァ」
怖くて自分で触ってなどいないのに。
――夢精の名残。
何とも言えない罪悪感にとらわれ
大きな溜息をついた後すぐに慌てて
息を止めた。
(ヤバ……!)
口に手をあてたままその視線を
兄の部屋の方の壁へと向ける。
……静かだ、とても。
意を決して恐る恐る部屋を出てみると
昨夜開けた引き戸はキッチリ閉められていた。
流石に怖くて開ける気は起こらない。
もし二人がいたら?
そう思うと、とても……。
(そうだ)
足を音を立てず、
玄関に向かい靴を確かめる。
靴が無い。
兄のも、女の人のそれらしきものも。
どっと安心感で脱力し、ヘナヘナと
その場にへたり込んでしまった。
良かった。
いま兄さんの顔をまともに
見れる自信がない。
絶対おかしな行動を取りそうな
自分が怖かったから。
そして俺は今度こそ
盛大なため息をついた。
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