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彼は私のモノ
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―――違う……違う違う!
兄さんは何も悪くない。
おかしいのは俺だけだ。
なのにさっきの言い方はなんだ?
兄さんに対してあんな口の利き方する
なんて有り得ない。
有り得ない……ホント、に。
解ってないのは俺も同じじゃないか。
イライラする意味が分からない。
ムカつく理由が分からない。
怒りと悲しみが混じる
この苦しい気持ちは、
一体、何なんだ?
兄さんが帰ってきていないことを
確認した上で、ソレを取り出した。
慣れた動作でそのアプリを起動。
無機質な呼び出し画像をボーッと
眺めていた。
手にあるモバイルは
四堂との連絡手段として彼から
渡されたもので出世払いで良いからと
貸し付けて貰ったものだった。
その言葉の裏にはお金を持っていない
俺に気を使って事だろうとは容易に
見当がついたけれど。
兄さんに隠れて使用してるのも
四堂からそうしろと言われたからだった。
無論その理由は聞いた、が
“多分お前とこんな風に連絡を取ってるの
あんまりイイ気はしないと思うから”
とか言う。
兄さんはそんな事、気にしないよって
言ったのに四堂はそう思ってるのは
お前だけだと笑いながら言うから、
特別隠すつもりは無かったのに
ついつい言いそびれて現在に至っている。
『――Hello,あ、レイ?
……ちょ、O now not……』
どうやら誰かと一緒らしく
通話口を押えているようにしながら
四堂が話しているようだ。
「忙しいなら別に良いんだ」
『いや……構わ……ッ、プッ』
「……!?」
唐突に切られた電話。
その直前、笑い声と
“This is mine”って聞こえた。
――女の子の声で。
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