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吹っ切れたのか?
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『悪い、直ぐかけ直せなくて』
四堂からの電話がかかってきたのは
それから約一時間後。
「あーうん、でも急ぎじゃなかったし、
その、えと何時でも良かったのに」
『そうなんだ?』
あの声は女の子だろ?
桐江さんは?もうやめたの?
聞いて良いのか悪いのか
判断がつかなくてその間、
四堂の言葉は上の空。
全然頭に入ってこなかった。
『レイ、どうした?』
「いや、やっぱ良いんだ。
また改めて連絡するから」
そもそも俺は四堂に何を言うつもり
だったんだろうか?
自分の事?
学校の話だっけ?
それとも……それとも?
思考がぼやけてよく思い出せない。
どこかあのまま繋がらなくて良かったと
思ってる自分がいる。
『……変なヤツ』
笑う声が遠くに感じる。
通信が切れて尚、ケータイを持ったまま
画面を凝視している自分に気づく。
……なんだ、そうなんだ。
桐江さんが好きとか悩んでいたのに。
やっぱ一時的なモノだったのか。
そういえば桐江さんの話したのって
何時のことだろう?
とっくに吹っ切れていたとか
全く気が付かなかった。
そうだよな、フツー男なんか好きになんか
ならないし……そうなんだよ……な。
「ハハ……心配して損した」
良かったな、四堂。
――本当に。
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