アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
貴方です
-
持っていないはずの端末を所持してる
俺に兄さんの声は冷たい。
いや、単に俺が黙っていたことに
対してやましい気持ちでそう聞こえる
のだとしても。
「どうせ送り主から口止めでもされて
いたんだろう?
なぁ、それよりメシ食わせて」
「…………。」
事も無げに言われたそれは、
とうに知っていたという口ぶりだった。
「っすみません、ちゃんと言おうと
思っていました。
タイミングを逸しただけで隠すつもりとか」
「何でそんな必死に言い訳をする?
別にどうでも良いじゃん、そんなの。
お前の年くらいになると
兄弟より友達が良いさ。
俺に逐一報告する義務なんかねぇよ」
「え!?」
どうでも良く無い、
誤解されたくない。
「――何がですか?」
「大事にしとけって事、ソイツだろ?
お前にとっていま一番失いたくない奴」
「それは――!」
目の前の貴方だ!
あの初めて話してくれたあの日から
今の今まで、変わっていない。
「……兄さんです。
四堂は大事な友達だけど
兄さんは誰とも比較にはならない
俺の中でいつも一番なんです」
「………………。」
なのに、
兄さんはそんな俺をただ無言で
見返すだけだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
91 / 234