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2ー22
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ー天神界・エデンの城・氷の花園
ゆるり、ゆるりと白い蕾が開くのを待ってる。
『ー…クラエティア』
愛しく、そして、酷く憎い彼の優しい声音は心を脅かす。
『私に聞いたとしても答えは分かっているんじゃないかしら?ねぇ…クラエティア。愛しいと思えるなら、大事に育みなさい。貴方の中で矛盾が生まれるのは迷いがあるからよ…』
『…迷い』
片割れが教えてくれた。
気持ちを大事にしろと…。
でも、彼は俺以外の者に笑顔を見せていたんだ。
どれを大事にして良いか解らなかった。
開きかけの蕾が一つ、また一つと美しく咲き乱れる頃。自身の中で鼓動を打ち始めていた。
愛していない男との間に新たな命を授かってしまったんだと悔いた。
しかし…。
とくん、とくんと打つ心の臓を感じて次第に幸せを覚えた。
命に罪は無いのだと…。
『愛する事の意味を考える様になったのは成長したわね…』
『サファリアが、いや…リオが母親同然に俺を見守ってくれてたから。色んな事に目を向けてみようと思い立った。それに民達が成長していくのも悪く無いと感じたんだ』
『そう…』
『けど、ユリウカが恐いのは変わりない。血の繋がった子供にも手を掛けそうで…。もし、もしも…ユリウカが手を出したら、リオ…情けをかけずに國を滅ぼしてくれっ』
俺の愛する御子を護る為に…。
たった一人の片割れに残酷な願いを託した。
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