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心のだけじゃなくて、表にデレを出して欲しい!(・・・切実に願います。)
1話目:「それは借りるとは言わないんじゃないでしょうか?」
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季節は冬・・・寒い寒い1月。ここの所、寒い日が続いている。雨の降る今日は更に寒さを感じる。こんな日は家に籠っておくのが一番、なんだろうけど、買い物に行かないといけなかった訳で・・・。
それに今朝の天気予報では、「雨は夕方から降るでしょう。」と言っていたのに、と天気予報のお姉さんの言葉を素直に信じて出た俺。
現在、午前11時頃。昼飯の買い物を終え、コンビニを出ると、見事に雨が降っていた。何が夕方からだ、と内心、お姉さんに対し悪態をつきながら、はぁ、と溜息を吐くが、それは雨の音でかき消された。
『どーしたものか・・・、濡れたままで帰ったら、志摩さんから怒られちゃうよな。あ、その前に書き上げてないことに対して、怒られるか。』
・・・どちらにしろ、帰ると怒られるという現実から逃げたい、と思いながら、ぼーっと降り止みそうにない雨を見つめる。
更に雨は大粒の水を大量に降らせ、30分経っても止むことはない。・・・それに少しの苛立ちを感じながら、『もう、濡れて帰ろう。風邪をひいてもどうにかなるだろう。』と軽い気持ちを抱えて、雨の中を走り出した。
あー・・・、疲れる。走るのは、疲れるな・・・とだんだんと速さが落ち、小走りで家へ帰っていると、道端に折り畳み式の傘が落ちているのに気づいた。・・・タイミング良いな、と傘を拾い上げ、近くの交番まで傘を借りようと、広げた。
「それって、ドロボーになりません?」
その声に反応して振り返ると、大きめのバックを頭の上に乗せ、頭だけでも雨から防ごうとしていたらしい青年がこちらを睨み付けていた。・・・随分と綺麗な面してんな、とじろじろと観察するように見つめてしまった。彼はそれも気に入らなかったらしく、更に睨むのを強くした。
「・・・言い訳だけさせてもらっていいかな?一応、これは交番まで届けようと思ってね。それまで拾った礼に貸してもらおうかな、って思っただけなんだよ。」
笑ってごまかすが、彼は疑いの目を向けるも、「・・・拾っていただき、ありがとうございます。」と嫌々といった様子でこちらに礼を言い、手を出してきた。
・・・渡せってことだよな、と苦笑を零しては渋々、傘を彼へ差し出す。
「どーいたしまして。」
彼の礼に対して返しては、未だに振り続ける雨に、『早く止めよ。』、とぼやいた。『・・・やっぱり、寒いな。どうやって帰ろうかな?』、と内心呟きながら、差し出している傘を受け取る気配のない彼に視線を移し、首を傾げてみせると、「・・・なんです?」と彼は無愛想に言葉を投げてきた。
「いや、それはこっちだし。傘、返してるから、取ってくれると嬉しいんだけど・・・?」
彼ははっとした様にこちらを見遣り、「す、すみません。」、と傘を受け取り、チラチラと何か言いたげにこちらを見ていた。
「・・・家、どこなんですか?」
ぶっきらぼうな態度を見せる彼を見ると、少し頬が赤い。・・・照れてる、のか?と小さく笑みを零す。すると、ギロリと強く睨み付けるのが見えた為、ヤバいと口元を隠しつつ、自分の住むマンション名を素直に答える。
それを聞いた彼は驚いた様に俺の顔を見た後、視線が下へ移った。・・・どうやら、買い物袋を見ているらしかった。
「そのマンション・・・俺も、一緒です。・・・貸すのは難しいですが、一緒に、でいいなら使いますか?」
ボソボソと言う彼に「なら、入らせてもらおうかな。」と傘へ入ると、そのまま無言で歩き始めた。・・・というか、この光景は周りから見ると変じゃないか?と内心思いつつも、まぁ、これ以上濡れるよりいいか、と自分の中でそう片付けた。
ほどなくしてマンションに到着した。ここはカードキーで結構このあたりでもいい物件だが、家族で住んでいるんだろうか?とオートロックを解除する彼を横目に見つつ、エレベータを呼んだ。すぐに来たそれに乗り込んでは、自分の階である最上階を押す。
「・・・君は?」
ついでに押してあげようと、そう声を掛けると、「・・・えと、一緒・・・ですね。」と少し歯切れが悪い様子で告げた。
「・・・・・・会ったこと、ないよね?」
彼も同じように思ったのか、「・・・ですよね?」とお互いに首を傾げてみせた。まぁ、普通の生活はしてないし、もしかしたら、端と端なのかもしれないと思っていると、エレベーターが到着したのを告げた。
「じゃあ、ありがとうね。」
傘を貸してくれたことに礼を言って、自分の部屋がある左へ向かうと、「・・・やっぱり、そっちなんですか。」 という彼の声が聞こえた。
「え?・・・君も、こっち?」
「・・・多分、隣、だと思います。」
彼はそう言って俺の部屋の手前で止まり、「俺はここです。」と言って、ドアをカードキーで開けると、「それじゃあ、風邪ひかない様に拭いた方が良いですよ。」と言って中へ入って行った。
「・・・あ、うん。」
俺は角部屋へ入って行き、中に誰もいないことを確認すると、ふぅ、と小さく溜息を吐いた。
『あ、拭いた方が良いな。』
まず、濡れた服を脱いでは頭にバスタオルをかぶせ、フラフラとリビングへ向かった。楽な部屋着に着替えては昼飯にと買ったコンビニ弁とやらを広げ、寛ぎ始めて思った。
『・・・お隣さん、初めて見たな。名前・・・、今度聞くか。』
疲れた体にと買ったあたたかいミルクティーはすでにぬるくなっていたが、甘いなとソファに体を沈めながらゆっくり味わった。
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