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8話目
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「では、旭さんの独立する為のお店、の予定地を見に行きましょうか。」
・・・旭さんの独立する為の、お店・・・?と、久山さんのにこやかな発言に疑問を内心呟きつつ、頭で処理できず、小さく「独立・・・?」と呟いて、ようやく整理は出来たが、理解は出来ず、ファオロ様へ振り返って見遣る。
「はぁ!?どういうことだよ!!」
ファオロ様へ、つい掴みかかる様な勢いで発言してしまった。そんな俺を気にする様子もなく、ニコリと笑みを浮かべている。
「ん?この間言ってたよね、独立したいって。」
相変わらず、ニコニコと笑みを浮かべつつ、「良いことしてるでしょ?ほめて、ほめて。」と言っている様だった。その発言に、イラッとしたものを感じ、『パシッ』と良い音を立てて、ファオロ様の頭を叩いてしまった。
「え!?なんで!?」
「なんで?じゃ、ねェ!俺、そんなすぐに、なんて言ってねェし!何勝手にそんなことしてんだよ!」
「え?そこ買って、一緒に店を開こうと思って?」
「いやいや、ツッコミどころ満載だな、おい!」
はぁ、と大きな溜息を零すと、チラチラとこちらを窺うファオロ様に、また溜息が零れた。
「レ、レイイチ、・・・怒ってる?」
恐る恐るこちらへ声を掛けるファオロ様の様子に、苦笑を零すと、彼は俺の反応にビクリと肩を跳ねらせる。苛々は収まらないものの、ファオロ様の大型犬には敵わないな、しょーがないな、と内心呟いては小さく笑い、ポンッと頭を撫でてやる。
すると、ファオロ様は嬉しそうに、はにかんだ笑みを浮かべ、ちょっと安心した様子をみせた。
「・・・ファーさん、普通、言ってから見に行きましょうよ。順番が違うんじゃないっすか?」
久山さんも苦笑を零しつつ言っては、「とりあえず、話をしてから決めたらいいっすよ。・・・俺は別のところへ行っとくんで。また連絡下さいね。」と言って、ヒラヒラと手を振って、俺たちを置いて、去って行った。
彼のファオロ様への態度を見ると、ただの営業という訳ではないらしい。・・・後輩か、友人か、少し崩れた口調から、後輩っぽいな、と勝手に想像しつつ、彼の後姿を見送った。
その後、ファオロ様へ視線を移すと、彼は小さく笑みを浮かべて、「じゃ、カフェにでも入って、話ししようか。」と俺の手を引いて近くのカフェへと入った。
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