アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ハミドのクリスマスプレゼント③
-
side ハミド
ブラッドが、ナースと番号交換をしたらしい。
『流石ブラッド、生徒会長らしく仕事も手も早い事だ。』
褒めたつもりだったが、ブラッドは気を害したらしい。どうやら女性にモテる事は彼にはあまり有難くない事らしいので、今後は自重する事にしよう。
『違いますって、ったく。あのタクマって子供に会いに行くのに必要な事だと思って聞いておいたんです。ナースからタクマの両親に俺の番号を伝えて貰ってるんで。面会には色々手続きがあるから俺が窓口になるから暫くブラッドって名乗ることにして、あの子と交流すれば良いでしょう。分かりましたね、ハミド。』
ブラッドの隙のない手配に感謝を伝え、また何か困った事があったら頼むと言うと苦笑しながら頷いた。
『そうハミドから素直に頼まれると断れなくなる不思議…ズルいですよ。』
以前にも誰かにズルいと言われた気がする。
しかし、頼んだほうが助かるのは事実だし、ズルくても何でも尽力を貰えるならば、甘えるべきだ。
翌日学園に行くと、ブラッドから両親から電話があり、オセロやプレゼントの感謝と、また是非とも見舞いに来てとの事だった。
俺のほうはシオンに事情を説明し1ヶ月後のこの日は予定を入れられない事を伝えると、人助けは心に良いことなんだよとなぜか我が事のように喜んでいた。
次の面会日の当日朝にブラッドへ母親から電話があり、体調がよくドクターからも許しが出たので宜しくお願いしますと連絡が入った。
付き合いのいいブラッドも一緒に病院への付き添いを買って出てくれた為、俺は珍しく側近がいない状態で病室内に入る事になった。
「タクマくーん、お薬の時間よ」
ナースがタクマに薬を持ってくると、タクマがぐずり出す。
子供というのは不思議なもので、大抵理由をつけて薬を飲みたがらない。
「この薬飲むと思考が纏まらないんだ、オセロのあとでいいでしょう?」
「ダメよ、飲む時間を守らないと次のお薬までの時間がまた空くわ。」
ナースとの攻防を見て、俺もつい口を挟む。
「タクマ、オセロもいきなりひっくり返すのではなく、何度も我慢しなくてはいけないポイントがあるだろう。好き嫌いばかりで我慢を覚えなくてはオセロも上手くはならんぞ。」
タクマはじっと薬を見ていたが、水と一緒に飲みだした。
「偉いぞタクマ。さっきより強くなっただろう。次会う時にはもっと上達するはずだ。」
するとすかさずタクマに言われた。
「ブラッド、また来てくれるのっ?」
うっ…次で、最後にしよう…。
「あぁ、次だけな。」
『はぁっ!?』と、ブラッドが俺を見てブチ切れる。
あとで謝ろうと思いながら、その日もオセロをして病室をあとにした。
帰り道、ブラッドがどーすんだよとブツクサ言う。
『ハミドは考えないかも知れないけど、あぁいう子が楽しみに待ってる時は絶対裏切ってはいけないんだから、軽々しく約束するなんてどうかしてます。ハミドも忙しいのに月に一度のボランティアなんて…。』
『そうだな、自分でも不思議だ。次回で終わりにするから、ブラッドはあと一日だけ付き合ってくれんか。』
絶対、次だけですよと念押しされていた見舞いのオセロだったが、突然この日が最後になってしまった。
急にドナーが見つかったと連絡が入り、見舞いの翌日にタクマは仙台の病院に行くことになってしまったのだ。
ブラッドは連絡先を受取はしたが、仙台は遠いからと両親にも感謝されオセロはもう行かなくて良いと言われたと報告しに来た。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
74 / 98