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ハミドの誤算①
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side ハミド
遠縁にあたる、マスウード・アルゴンキン・ダーレイとの、馬鹿馬鹿しい、共同生活が始まる。
やってられないと思いながらも、このまま何の理由もなく断るもシャクだ。
2週間ならそんなに長く拘束されるわけでもないと、納得したように振る舞う。
それよりもシオンと離れて暮らす方が余程ダメージはでかいのだが、それについては配慮が無いらしい。
どこかで考えます、カリフはそう言っていたが、何の手立ても立てねば暴れてやるとキレておいた。
『そうか、ならば俺は俺で金を増やすか。』
『どうやって?』
訝しむ顔を隠しもせずに俺を見るが、こいつとの共同生活にチームワークは不要だ。
『お前に教えるつもりはない。カリフは連れて出かけるが構わんだろうな。』
『あぁ、カリフから金銭を受け取らないって約束出来るならいいですよ。』
『そんな不正を俺がするわけがないだろう。では、遠慮無く連れて行くぞ。来い、カリフ。』
そうして、カリフと一緒に来たのは品川にある大井競馬場だった。
『殿下、ここは…競馬場ですよね?場所はここで本当に宜しいのですか、何をなさりたいのでしょうか。』
カリフはこの人混みにうんざりしながらも、キョロキョロ辺りを見回している。
パパラッチが、いたところで何も激写出来ないというのに。少々心に疚しい(やましい)所があると、こういう振る舞いをしてしまう。
『カリフ、混乱しているようだが、一つずつ説明している暇はない。まず、4を買え。ほら、千円だ。』
競馬は二十歳になってから、俺は残念ながら買えない。
『は、はい。只今行って参ります。』
この千円の単勝が5倍ついて五千円に元手が増える。
『次はこの3を複勝で買うぞ。』
複勝とは、1着から3着まで入れば当たりという馬券だ。このレースはガチガチの本命馬がいるが、それから流しても当たりが少ない。それよりはビリに近い人気の3を買って、3着までに入れば20倍近くつく。
これも当たり、一旦換金させて、上のシートを買いに行かせると、やっとまともな席に座る事が出来、食事も出来るようになった。
『いいか、カリフ。ギャンブルは水モノだ。仕事とは又違うが、俺に大敗は許されない。
元手はしっかり確保してから、残りの金で勝負勘の赴くまま、金額をはれば大きく負けることは無い。』
カリフには、殿下がそのようなセオリーを振りかざして仕事をなさっていなかったことに、心から感謝しますと呆れ口調でボヤかれた。
今終わってしまうと、掛けた分しか戻って来ないが、運も良さそうなので、心配せずにまた人気が殆どない馬の複勝を賭けた。
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