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〜貧乏生活その②〜 シオンのアドバイス②
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「背中を洗ってあげるから、俺が帰るまでに入りなよ。」
俺が声を掛けると、嬉しそうに仕度した。
ハミドの背中を洗いながら、東北の震災の話をする。
「俺も近所のおばさんに聞いた話なんだけどさ、暫くは飲み水も無くて、簡易風呂を自衛隊の人が用意してくれるまでお湯はバケツに一人2杯のお湯までだったんだって。でさ、1杯目のお湯からこうして石鹸をつけて泡立てて…こんな感じで、身体を洗うでしょ。で、この泡立ってるのを少しずつ落として何度も濡れタオルで泡を取るように拭くんだ。最後はこの綺麗なお湯でざっぱーんとして…。こんな感じで、毎日使えないけど、皆お風呂に入りたいのを我慢してたんだって。」
「…毎日入れるだけでも、有り難がれとシオンは言いたいのか?」
ハミドは拗ねたように言う。
「違うよ。震災の時は皆大変だったけど、自然の災害だから仕方ないって皆その生活でもやってこれたんだ。元気がなきゃ復興も出来ないし。だから、ハミドもこの生活をいい機会だと思って…って、今も、もし地震が来たらウェットティッシュとかで済ますしかないって…言っても、こんなの、ハミドにはただの気休めだな。ごめん。」
いや、とハミドはあまり元気が無くなってしまった。
風呂から上がると、ハミドにお湯を溜めたままにして出かけようと提案した。
何だ何だ、と散歩がてら買い物に行くと、パン屋さんで、パンミミ50円と書いた袋があり、これくださいと言う。
「シオン、パンなのに随分安いな、こんなのをどうするんだ。」
「昔ね、とあるバラエティで節約のHOWTO番組があったんだけど、俺が好きで観てたんだ。一ヶ月を一万円で食費、光熱費、水道費、日用費とかを賄って、一番使った金額の少ない人が勝ちって趣旨だったんだけど、これをおやつで作ったのを見て、俺も真似したの思い出した。」
あとは公園行って、ゴロゴロしたり、図書館でゴロゴロしようよと誘うと無言で頷きながら付いてきた。
海沿いの公園で風にあたりながらまったりし帰宅したら、台所を借りた。
パン耳を揚げて紅茶用の砂糖をふりかけ、紅茶を淹れれば、ちょっとしたティータイムになる。
「旨い。ラスクのような食感だ。これはこれでイケるな。」
少し気分のあがったハミドを見てホッとした。
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