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〜貧乏生活その②〜 シオンのアドバイス③
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「これ、パン耳のおやつ、あと2日分位ある。」
ハミドは、この貧乏生活でおやつまで食べられるとは思わなかったと嬉しそうだ。
いつもはあまり甘い物は、食べないほうなのに、口が寂しいのだろうなと思った。
「それで、お風呂の残り湯なんだけど。これは洗濯用に使ったり、この部屋の拭き掃除に使ったりするんだ。雑巾ある?あぁ、これ。
雑巾を2枚使って掃除するんだよ。一枚目は濡らして固く絞って、2枚目は乾いたほうで包むんだ。んで、畳はこうすると埃が立たずに拭けるし、カビたりもしないんだ。」
「色々考えて、生活を工夫するのだな。」
ハミドが感心したように言ってくるけど、ゲンショーさんのところでは、節約とは違う生活みたいで、今回とは勝手が違うようだ。
少なくとも、お風呂は広くて綺麗だし、風呂の残り湯で何かするってことも無いらしい。
「庶民の生活はお金がない分知恵を使うんだよっ。ハミドもゲーム感覚で楽しんでみな。」
ゲーム感覚か、なる程な。
ハミドが不敵に笑ったような気がした。
元気が出たようで、帰るねと言うと、何か忘れていないかと言う。
「へっ、何だっけ?」
「とぼけるのか、アイツは、暫く帰って来ないぞ…」
抱きつかれて、お尻を撫でられる。
「ハミド…。それだけ元気なら、安心して帰れるな。離せ。
この生活が、終わったらな…」
大きな溜息をついて、頭を撫でると、これだけはさせろと唇を押し付けてきた。
こうして甘えられると弱くて、なし崩しにキスまでは仕方ないな、なんて言って許してしまう。
少しだけ、そうして2人で身体を寄せ合うようにゴロゴロしてるとストレスが取れるなんていいながら、全力で甘えてきた。
それから顔を上げるとハミドは晴れ晴れとスッキリした表情で、俺に高らかに宣言した。
「よしっ、ではシオンがびっくりするほど完璧な暮らしぶりを、これからしてやるぞ。」
こうして始まったハミドの節約生活。
本当の意味での第一歩だ。
一体どんな暮らしぶりだったのか、次に会って話すのが楽しみになった。
その②終わり
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