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言いつけ通り、矢代は昼休みの後半に差し掛かったところでトイレに到着した。それまでトイレ付近の腰掛けで相手の登場を待ち伏せていたが、現在もそこで矢代の準備が整うのを待つ。
北棟のトイレは故障しており、誰も近づかない。時折、特定のカップルがイチャつきに来ていたらしいが、そのカップルが破局したと聞いたので遭遇する確率は低い。
矢代から手渡された遠隔操作用のリモコンを、手で弄びながら眺めた。
知識がないわけではないが、これまで、アダルトグッズやそういう類のものを直に触れたことがなかったので新鮮だった。というのも元より、性的なものにあまり興味がなく、普段から自慰もそれほどしない。 そのため、性的な何かを購入する機会がなかった。
健全な男子からしたら気味悪がられるかもしれないが、もう数ヶ月も一人でしていないのは事実である。
わざわざ自分の快感のためだけに、馬鹿みたいに自分で動くことが、面倒だ。
立て付けの悪そうな、木と金属が摩擦し合う音が遠くで鳴る。近づいてくる足音のほうに目をやると、バツが悪そうな顔をした矢代がトイレから出て来た。
無意識のうちに装着部を隠そうとしているのか、いつもの立ち姿と比べると脚と脚の間隔が狭い。小賢しく偽っていないことは見てとれた。
「ちゃんと固定した?」
「……したっつーの…っ」
「言いつけ通り?」
「……根元に」
「ふぅん。…恥ずかしい?」
「恥ずかしいに決まって…、んぁっ!」
矢代の立てる声が耳障りな予感がしたので、黙らせるためにスイッチを入れた。唐突な刺激に、矢代は前かがみになり俯く。振動の音は耳を澄ませば聞こえるが、教室ならさほど目立たないだろう。
強弱を不規則に変えて、試しに遊ぶ。
「自分で使ったことないの?」
「……ねぇ、よ…っ」
「じゃあ今日が初めてなんだ。……初めての割には、随分良さそうじゃない?」
「よく、ない…!」
「よかったねー、一番敏感な先端じゃなくて」
「ぅ…、もう止めろ、よ…っ!」
音量の確認は済んだので、取り敢えずスイッチを切る。矢代は吐息を抑えながら、俺を睨んだ。だが俺からしたら、ただの上目遣いでしかない。
壁に沿って設置されている腰掛けから立ち上がり、矢代の前へ歩み寄る。
「今日、放課後にまたここに集合。それまでローター付けっ放しね。イくのも禁止。あと来るとき俺とタイミングずらせよ。 一緒にいるところ見られたくないから。
……じゃ、先教室行くから、ちゃんと午後の授業出ろよな」
矢代はまだ何か言いたげだったが、気に留めないで教室に向かった。
イくことを禁止したが、過敏な矢代がそれを守れないことを承知の上で言った。 矢代がイってしまうことを前提にして、それが現実になればなじり、また仕置きを科すつもりでいる。
午後の授業は約2時間。
その間じっとしていれば問題はないように思うが、休み時間などで友人に絡まれたりして、試練じみたものが発生するはずだ。それにどんな人間でも、性器を長時間刺激されればいつかは果てる時が来るだろう。
頭の良し悪しなど関係ない。
猿も犬も人も、さして変わらない。
タイミングは違えど必ず限界は来る。
俺はその限界に向かって、じわじわ攻め立てるだけだ。
掌に収まるリモコンを親指でなぞる。玩具の片割れをズボンのポケットに忍ばせて、教室の扉を開けた。
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