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===プロローグ===
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「アッ、あんっ!ん、は、あぁん…っ!イィっ!ア、アキラっ」
「ハっ…声抑えろよ淫乱。」
「ムリ…っ!あん、やっ、」
俺はその日、もう何度目かわからない絶望を味わっていた。
「嘘つき。」
いつも決まって呟く、独り言とともに。
ーーー
ーー
ー
何がいけなかったのか、なんて。俺にはわからない。ひとつだけはっきりしているのは、あいつがもう俺を見ていないことだけ。
振り向いて欲しくて、足掻いたこともあったけれど。
苦手な料理を始めたのだって、あいつが好きなものをおいしく作れたら、って思ったのが最初だし。
…俺は両手に持ったスーパーの袋に目を落とす。
無駄になるであろう食材たちが詰め込まれた白い袋が、ガサリと不快な音を立てた。
「あんっ、あきらぁ、もぅ、やっイくっ…!」
「く…っ!イけよ、ほらっ」
「あっあっあっあっ…」
女のあえぎ声、ギシリギシリと鳴るベッド、
俺じゃない人の上で唸るように達する、
愛しい、人。
「もう、限界。」
限界なんだよ、彰。
俺達は、昔からずっと一緒にいた。
家が近くて、親同士が仲がよくて、どんな思い出にも、必ずあいつがいて。
そういう時間がずっと続いていくと思っていたから、あいつが俺を避け始めたときには、どうすればいいのかわからなかったのをよく覚えてる。
それはたしか、中1くらいのとき。
避けられて気付いてしまった。
「俺は、あいつがいないとだめなんだ」、って。
両思いだと知ったときには、舞い上がるような気持ちだった。
周りのもの全てがきらきらしているような感覚。
あの時の感情から、少しも衰えることもなく俺は彰を想っていて、……いや、あの時以上、かもしれない。
限界がないみたいに、どこまでいってもあいつに惹かれる。
そんな自分がこわいときもあったよ、でもあいつがいれば、そんなもんどうってことなかった。
なかったのに。
-もうすぐ、彼らは部屋から出て来るだろう。
いつもなら、俺のことを視界にいれた瞬間彼は嬉しそうに笑い、それでも俺はだんまりで、あいつは女を追い出して、
おざなりの、愛の言葉を、俺に。
(さきほどまで、誰かと愛し合っていたその口で。)
そう、"いつもなら"。
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