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「………え?」
か細い声、
縋り付くような、ゆらゆらとした目で俺を見る彼。
「えっとあの、僕、真中雪といいます。
いちおう、生徒会補佐をさせていただいてるんです。」
にっこり、「これからよろしくお願いしますね、会長さん。」なんて言ってみた。
息が吸いづらかったけれど、こんなの、この1年に比べたらなんてことはない。
「ゆき…雪だろ?俺だよ、俺が、わかんない…?」
立ち止まるわけにはいかない。
もう俺は、戻れないところまできている。
「すみません、どこかでお会いしましたっけ?」
あなたみたいな素敵な方、一度見たら忘れないと思うんだけどなあ…、
そう言いながら上目遣いで見上げた先の彼は、混乱しきった顔で俺を見ている。
「し、知らない…、俺はこんな雪…、」
「当たり前ですよぅ、だって初対面だもの。」
地面に落としてしまった花束を拾いながら、
俺は困った顔で笑った。
わらった。
「では改めて…、
はじめまして、園田彰さん。
生徒会会長にご就任、
おめでとうございます。」
パチパチと音がして、そちらを向くと蘭が拍手をしていた。
俺と目が合った彼は、ふ、と小さく笑い、館内の生徒たちにも拍手を促す。
盛大な拍手の中、
無表情で立つ"園田君"と、
笑顔で手を叩く"僕"。
もう、
昔の俺たちじゃない。
本当にさようならだね、"あきら"。
== 第一章 終==
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