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2 (彰)
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この1年間、俺は雪を本気で探した。
いろんな人に聞いてみた。だけど誰も、誰も教えてくれなかった。
雪の両親に聞いてみても、悲しげに笑うだけの彼らからは何も聞き出せなくて。
「あの子は、弱い子なのよ、だから、」
俺を責めることなくゆらゆらとした目で、だけどしっかりと俺を見つめるその顔は、俺の愛しい彼と同じ面影を持ち。
土下座をして雪の居場所を聞き出そうと頭を下げたときにつつ、と、知らずのうちに涙が伝ったのがわかった。
「お願いします、雪の、居場所を、」
繰り返し、繰り返し。
それでも彼らは、首を横に振りつづけた。
愛しい、愛しいあの子は、どうして。
俺は、
俺は一時だって離れたらおかしくなってしまいそうで。
それなのに、どうして。
-雪、雪は、大丈夫なの?
俺と離れて、生きていけるの?
自分勝手にも、そう思った。
俺たちは、昔から一緒で、
これからも一緒だと思ってて。
雪が強くないことは知っていて、
でも強くあろうしたこともわかっていて。
物足りなかった。
一人で立とうとしなくたっていい、
だって、俺がいる。
俺だけを、見ていればそれで。
俺に、溺れろ。俺だけで、満ちろ。
俺だけ、俺だけ、俺だけ、を。
…。
馬鹿なことをした。
手に入れるために用いた方法は、
大好きなあの笑顔を、見られなくするものだった。
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