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しかし、もちろんそんな願いは叶うはずもなく。
「"シンユウ"だからってそこまで口を出していいものかな?」
シッカリと、
逃げ出したい俺の足首を掴むように。
消えてしまいたい俺を許さないように。
まるで子供に話し掛けるみたいな声色とスピードで、園田彰は蘭にそう尋ねた。
「干渉しすぎだと、思わない?」と。
「…っ!あなたは、
あなたは生徒会長ですよね!?」
小ばかにするような言い草が気にくわなかったのであろう蘭は、
さっきよりも少し声を張り上げていて、怒りがあらわになっている。
「…だから?」
「他の生徒の大部分は、僕たち姫には危害を与えません。」
そう、"姫"というポジションは、騒がれたり雑用を押し付けられたりするだけのものではない。
その分、守られている部分だってあるんだ。
「僕たちに何かしらのアクションを起こせば、それだけの制裁を与えられるのです。」
もし傷付けるようなことをすれば、退学さえまぬがれない。
「でも、会長は違う。
貴方は、"園田"の人間ですもの。」
シン…、と空気の緊張度が上がった気がした。
「…つまり君は、俺が雪に危害をくわえるとでも…?」
とても静かな声なのに、…いや、静かな声だからこそ、
彼が醸し出す雰囲気はものすごく冷たく、恐ろしく。
「可能性の話です。」
そんな冷ややかな空気にのまれることもなく、蘭はキッパリと言い切った。
「その可能性は、ゼロだよ、」
残念だけどね。と全く残念ではなさそうな顔で、くつくつと笑う園田彰。
…ぞくり、とした。
「君はさ、雪のシンユウだと言ったけれど、」
あぁ、逃げたい。
「この子の何を知っているのさ?」
…できることなら、消えたい。
「…どういう意味ですか。」
どうして神様は。
「俺と雪はねぇ、」
ここまで俺を、追い詰めるのだろう。
「昔から、「会長。」…なあに?雪。」
「僕に大事なお話があるのではなかったのですか…?」
期待するような顔で、少し遠慮がちに。
「早く、聞きたい、です…。」
言葉尻は、小さく。控え目に。
「…そうだね雪、シンユウ君と話している暇なんてなかったな。」
聞きたくない。本当は何も。
だけど、
蘭に知られるよりはマシだと思った。
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