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12 (彰)
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「どういうことですかっ!?」
如月蘭の声が、生徒会室に響き渡った。
==彰side==
その日は、生徒会役員の初顔合わせで。
各々の自己紹介もそこそこに、俺は、俺の本題ともいえる話を切り出した。
「生徒会補佐のお二人には、昨年度と同じく生徒会の手伝いをしてもらうけど、」
俺の知らない"昨年度"。
自分で言っててグッと拳に力が入ったのがわかる。
「如月君は、副会長の補佐を、
雪、君には、俺の補佐をお願いするよ。」
じっと見つめる先にいた彼は、驚ききった顔をして俺をみた。
そんな俺らを邪魔するように、声をあげた如月蘭。
「そんなの、聞いてません!」
「昨年度と同じく、生徒会全体の補佐でいいんじゃないすか?」
次に意見を述べたのは、俺らと同じ2年の村崎慶。会計だ。
スポーツでもしているのか、適度についた筋肉、
そして爽やかさを感じさせる顔を持つ彼は、さぞかしモテるだろう。
「姫はみんなのものだし。」
ボソッと聞こえた呟きに、俺はそいつを睨みつけたが、
気付いていないのか、そういうフリをしているのか、村崎はこちらを見なかった。
今年入学してきた書記は、どうしたらいいのかわからないのか黙っている。
「その"昨年度"だって、専属に近かったと聞いたけど?」
そう言ってまた、自分の言葉に刔られた。
俺の雪が、誰かの専属だっただなんて。
…そんなのもう、…。
「それは、仕事の多かった僕の手伝いをしてくれていたのが雪さんだった、というだけですよ?」
副会長が、落ち着いた声でそう言った。
ギリッと歯を食いしばって堪えた俺の顔は、歪んでいないだろうか。
ちゃんと、前を向いていられているだろうか。
「だから、もしそういった"専属"を決めるというのなら、
僕と雪さんが一緒の方が仕事がしやすいと思うのですが。」
そんなこと、
そんなこと、
許せない。許さない。
許す、はずがない。
「もう、決定事項、だから。」
なぁ、雪、この前言っただろ?
『生徒会の仕事、"一緒に"がんばろうね?』ってさ。
最初は形だけだっていいんだ、
俺の隣にいるのが雪なら、
お前の隣にいるのが俺なら、
俺は、"これから"を頑張れる。
こんな、身を裂くような苦しい現状に、負けないでいられる。
俺を保つのは、雪、お前の存在だけなんだ。
雪、早く俺を見て。
早く、名前で呼んで。
大好きなあの優しい声と柔らかい笑みで、
『あきら。』
俺のこと、呼んでよ。
======彰side 終==
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