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全てが、変わってしまった。
でも僕は、あのときから苦しいままだ。
「そういえばあの人、この前親衛隊潰したらしいッスよ。」
思い出したように、村崎君がそう言った。
「親衛隊…?」
「蘭さんたちにもあるでしょ?
不可侵条約結んで、お互い牽制し合ってる集団。」
「あぁ、あれのことか。」
「えぇ、あれのことです。」
村崎君と蘭は苦笑しながら、あそこまで行くと宗教ですよね、なんて言った。
「潰したのって、誰のを?」という蘭の問いには、
「会長自身のです。」と答える。
「この前新しく発足したらしくて。」
「まぁ、あの見た目じゃ当たり前ですね…。」と蘭。
たしかに、園田彰は個人的な感情を抜き去って見ても見た目がいいというのは否定できない。
高い身長に、堂々とした立ち振る舞い、
無造作だけどちゃんと決まっている髪型も似合っているし、
何よりあの力強い目は、一度捕らえた相手を離しはしない。
「親衛隊を解散させるなんて、大丈夫なんですか?」
「まぁ、表立って何かがあるわけじゃないスけど、
陰では結構反感買ってるみたいで。」
「…。」
やっぱり違う。
過去のアイツなら、わざわざそんなことは絶対にしない。
わざわざ、自分から人が離れていくようなこと、絶対に。
「潤も大騒ぎして大変なんスよ、本当。」
「潤くんが?」
「はい。最初は"雪さまに近づくなんて!"とか怒ってて、」
潤というのは、僕の親衛隊の隊長をしてくれている、とても素直で可愛い子。
最初は少しぎくしゃくしたこともあったけれど、
今ではかなりの仲良しだ。
「今は親衛隊解散の話スね。
"突然会長になったと思ったら勝手なことばかり!"とか。」
「あぁ…、想像できます。」
僕がそう言うと、「でしょ?」と村崎君も笑った。
その目は、まさに愛しい相手に向けられるもので。
「寝言なんてもっとひどいですよ?」
「寝言?何て?」
「"姫さまー!園田が…!園田があああ…!"。」
「ふふ、それはさすがに想像できない。」
僕がそう言って笑うと、
「今度録音してきましょうか?」と声をあげて笑った。
「でもやっぱ聞かせるのは惜しいな。ただでさえ最近、雪さま雪さまうるさいのに。」、そう付けたしながら村崎君は僕をじろりと見る。
「ふふ、ヤキモチってやつですか?」
「…ストレートすぎますよ、雪さん。」
「ごめんなさいね、でも僕と潤くんは大の仲良しですから。」
いたずらっぽくそう言うと村崎君は、
「雪さんにはいつまで経っても敵いませんよ。」とため息をついた。
なんで俺の親衛隊に入ってくれなかったんだ、アイツ。とこぼす村崎君に、
「わかってないなあ。」と僕。
「何がです?」
「いえ、なんでも。」
そう返しながら僕は、なんだか微笑ましく感じていたのだった。
"好きだからこそ"なんだよ、村崎くん。
「園田…!」なんて言いながらも、
あの子はきっと"ぷんすか!"みたいな可愛い怒り方をしているんだろう、
そういえば最近、僕のところに来ていないなあ、
久しぶりに、潤くんと話したいなあ、
そんなことを思った。
たまには僕から会いに行くのも悪くないかもしれない。
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