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「雪…どうした?」
「あ…いえ、なんでもないです」
ダメだ、最近、一度思考に入るとそのままハマッてしまう。
抜け出せなくなる。
「顔色悪いし…少し休むか?」
「大丈夫です、ホントに。」
僕のことを覗き込むようにして心配そうな顔をする園田彰。
「…雪、痩せた?」
「そうですかね…?」
たしかに、最近あまり食欲がない。
だからといって食べないと周りを心配させてしまうだけだし、
とりあえずは出来るだけ、食べるようにはしているのだけれど。
「……お前、すぐに無理するから…。」
「無理なんてしていませんよ…?」
「雪。」
咎めるように僕の名前を呼ぶけれど、
無理をさせているのは誰?
事あるごとに呼び出す生徒会長ではなくて?
「顔色悪い…」
「大丈夫ですって。」
「そんな辛そうなのに、何言ってるんだよ」
「だから…、」
早く終わらせてしまおうよ、会長。
こんな書類のチェック、時間をかけるべきじゃない。
「雪、」
「はい?」
「お前、今幸せなの…?」
……は?
「こんなんで、辛くない?お前、一人で我慢して一人で抱えるから…」
「…。」
「昔みたいに、笑ってよ…」
何なの、このひと。
よくもこんなことが言える。
あぁ、忘れたの?
僕みたいに、きれいさっぱり忘れてしまったの?
それならわからないでもないけど?
「幸せですよ?
ここには、大切なひとがたくさんいますから。」
「たいせつ、」
「えぇ。蘭だって、薫先輩だって、他にもたくさん、僕を支えてくれる存在がいますから。」
「らん、かおる…」
やめて、そんな傷付いた顔をしないで。
暗に示すのは、
『もう君無しで生きていける』。
「部屋に戻ります。」
「…、」
「しばらくは部屋で仕事をしますね。」
「え、」
「体調があまり優れないので、」
「でも、」
「ごめんなさい、会長。」
あ、歪んだ。
初めて見るような顔。
留守番をさせられる子どもが、「いってらっしゃい」を言うときみたいな顔だ。
「僕の体調を気遣ってくださってありがとうございますね。」
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