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「彼が如月さんに仕事をまわしてるんですよ、」
「会長が、蘭に…?」
「はい。僕の"専属"さん、取られちゃいましたよ。」
なんで。
なんで、会長は僕にではなく、蘭に…?
なんで、蘭も、それを言ってくれないんだ…?
たくさんの"なんで"が頭をめぐり、
じわり、胸の奥で疼き始める何か。
嫌な、気持ちに、なる。
そこでふと、気付いた。
「え、てことは今、先輩は一人でお仕事なさってるんですか…?」
「…まぁ、そういうことになりますね。」
「ど、どうして言ってくださらなかったんですか!
そしたら僕、手伝ったのに…」
「え?あぁ、でもそんなにたくさん仕事があるわけではないですし…」
雪さんの手を煩わせるほどでは…、と薫先輩は言うけれど、
先輩は見えないところで一人頑張ってしまうひとだ。
「…いえ、手伝います、僕。」
だから次仕事をするときは、呼んでくださいね?と言ったら、
薫先輩は少し迷ったあと、わかりました。と頷いてくれた。
あれから…部屋まで送ってもらったあの日から、薫先輩は普通だ。
次、どんな顔をして会えばいいのかわからなかった僕とは違って、
薫先輩は何事もなかったように接してくる。
僕は少し拍子抜けして、僕一人が気にしているのもなあ、とあまり考えないようにした。
紳士が手の甲にくちづけるのと同じようなものだと思えばいい。
…まあ、僕は男だけど。薫先輩は紳士以上の紳士、そういうことにしておこう。
「……あ、でも、」
「何ですか?」
「先輩、どこでお仕事なさっているんですか…?」
もし生徒会室だとしたら、僕は…
「んー、大体は自分の部屋ですけど…」
…そっか、よかった。会長たちが仕事をしている生徒会室は、あまり行きたいとは思わない。
「でも、雪さんが手伝ってくださるなら生徒会室で作業しましょうか。」
「…え!せ、生徒会室は、ちょっと…」
「嫌ですか?」
「は、はい…
薫先輩のお部屋にお邪魔しちゃ駄目ですか…?」
「…え、」
薫先輩は困惑した顔で僕を見る。
…やっぱり駄目、だよなあ。
急に部屋に行くなんて迷惑すぎる。
「あー、すみません、いきなり無理ですよね、
じゃあ僕の部屋はどうですか?」
「い、いえ、無理とかでなく…
僕、一人部屋ですよ…?」
「?知ってますよ?」
生徒会役員は、みんな一人部屋をもらっている。
僕と蘭は補佐だから、二人で使っているけれど。
「……つまり、部屋で僕と二人きり、ですよ…?」
「?はい。」
「…本当にわかってます?」
「え?、だって今だって二人きりじゃないですか。」
「……食堂と部屋とじゃ全然違いますよ…。」
「?」
「…いえ何でもないです、
雪さんですものね、」
仕方ない仕方ない、とぶつぶつ呟く薫先輩。
「せ、先輩?
先輩の部屋が駄目なら僕の部屋でも…」
「雪さん!」
僕の言葉を遮るように、薫先輩が僕の名前を呼んだ。
「は、はい!」
「そんな簡単に他人を部屋に入れちゃ駄目ですよ?」
「え、でも」
「返事は!」
「はい…!」
「よろしい。」
薫先輩は僕の頭を撫でて笑った。
…話がそれてません?
「え、じゃあどこにします?」
どちらの部屋も、そして生徒会室も駄目だとすると、どこにしよう…?
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