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春
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side 美哉
桜が舞い散る美しいこの季節。
なぜか不思議と悲しくなる季節。
俺は高校2年生になった。
新一年生も入学して来て、
俺たちも体験入部にくる1年生への対応で忙しい…
はず…?
「おい、美哉!お前サボるな!」
「え?だって俺教えんの下手だし?」
「そういう問題じゃあねぇよ?!」
今日も相変わらず俺が所属する弦楽部は騒がしい。
いや、普段は真面目にみんな練習するさ?
ただ、こういう時だけは、1年生歓迎ムードになるから
騒がしいだけ。
ついでに言うと俺はコンマスだ。
確かにサボっちゃいけないんだけど……
教えるの下手だから仕方ない!
さっきからぎゃーぎゃーうるさいのが部長さんである。
「ぁあ!?誰がぎゃーぎゃーうるさいだって?!
全部聞こえてんぞ、少しは手伝え美哉!」
少し口悪いのが難点だけど、普段優しいから、
問題なーし!
「姫!美哉!頼むから喧嘩しないで?!」
あーらま。部員からも言われちゃった。
じゃあ仕方ない。俺もやってみようかな?
「お、美哉。やっとやる気になったかよ。」
「まぁねー!さぁ、新一年生のみなさん!
我らが弦楽部へようこそー!」
さぁ、せっかくだから俺も楽しんじゃえ。
と、そう思った矢先のことだった。
様々な音で溢れかえる音楽室の中で、
俺の耳はたった1つの音を拾った。
窓の外に広がる桜のように美しく、澄んだ、
チェロの音……
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