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燕羽は相変わらず元気がない
元気なフリをしているだけ
「あっ、和海だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
確かに母親をあんな形で失ってしまったんだから元気を出せと言う方がおかしいけどね
「ただいま」
「おかえり」
「やほ」
「あっ!楓、久しぶり」
「うん、元気だった?」
「まぁまぁかな」
「そう・・・・・・」
「こいつは燕羽」
「はじめまして」
「こんばんは、燕羽です」
「しばらく滞在するからよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
「とりあえず、ニュースでも観ようか」
「楓がニュース?似合わなすぎ」
「日本のニュースは平和だしね」
「まぁね」
ニュースか
さすがに仕事が早いな
和海の奴、楓に頼んだのか
テレビをつけて、ニュース番組を流しながらお土産をもらった
「あっ、このバック欲しかったんだ~、ありがとう楓」
「気に入った?」
「すごく!デザインが凝ってて好きなんだ」
「よかった」
楓はずっとロンドンにいた
音楽活動と裏の仕事を楽しんでいたみたい
どちらかと言えば・・・・裏の仕事の方が・・・いやいや
「おっ、燕羽は財布か~」
「・・・・・・・・・・・ありがとう」
「もしかして気に入らなかった?」
「いえ、すごく気に入りました・・・・ごめんなさい」
「よかった」
燕羽は革の財布だった
このブランドのデザインは俺も好きだし、値段も張る物だった
しかも一点ものだから希少価値もある
そして・・・・・・・・・・・・・
「えっ?」
ニュースを見つめていた燕羽が小さな声を出した
「あいつが・・・・殺された?」
「もしかしてこいつが?」
「うん、でも誰が・・・・・」
「誰でもいいんじゃない?相当恨みを買っていたのかも知れないな」
「うん」
「ごめん、俺が仇を取るはずだったのに」
「ううん、俺・・・・・」
「ん?」
「嬉しいと思ってしまったんだ・・・・・人が殺されているのにね」
「いいんじゃない?こいつは死んで当然の男なんだし」
「これで母さんもうかばれるかな」
「もちろん」
「そか・・・・うん」
楓の仕業か
さすがだね
証拠も残していないみたいだし
「楓、疲れたでしょ?部屋に」
「そうだね・・・・燕羽に案内してもらおうかな」
「えっ?」
「ねっ?」
「はい」
「楓の部屋は二階の角部屋だから」
「わかった、どうぞ」
「うん」
ん?
珍しい事もあるものだ
楓から声を掛けるなんてね
でも、これで少しは元気になれたかな?
少し緊張しながら二階の部屋に案内した
楓さんて・・・・どこかで見た事がある名前のような気がするけど思い出せない
「ここです」
ドアを開けて楓さんを見つめた
「では、ゆっくりお休み下さい」
「ねぇ」
「はい」
「来て」
「えっ?」
「部屋の中」
「はい」
何だろう
荷物整理かな?
「少しだけ元気になれれば嬉しいな」
「えっ?」
そう言って楓さんは持って来たギターを取り出し、ベッドに腰掛けてとても綺麗な曲を弾いてくれた
何だろう・・・・すごくココロが軽くなるような曲
思わず、その場で立ち尽くしたまま聞き入ってしまった
そして俺はその曲の中で母親が笑顔で手を振ってる光景が浮かんだ
「あっ・・・・・・」
「ごめんね、泣かせるつもりはなかったんだけど」
そう言いながら涙を指で拭ってくれた
「いえ・・・・すごくいい曲ですね」
「そう、よかった」
「俺、すごく元気が出ました!ありがとうございました」
「どういたしまして」
「じゃ、俺は失礼します」
「うん、また後で」
「はい」
いい人だと思った
最初は少し怖い感じに思えたけど、すごく優しい人
そしてギターがすごく上手
ギター・・・・・ギター・・・ああっ!もしかして・・・・まさか・・・でもっ
急いで自分の部屋に戻り、CDケースを探った
「あった・・・・嘘っ!」
中学の頃から好きだった洋楽
顔はわからないけど確かに楓と書いてある
それに曲調が同じ
あの人が楓さんだったんだ・・・・・・ど、ど、どうしよっ!
ずっと好きだった曲を弾いていた人が同じ屋敷にいるんだ
と言うか、日本人だったんだ・・・・・気付かない方がおかしいのかもね
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