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「行くぞ」
「えっ、翔が一緒に行ってくれるの?」
「足の事も聞きたいしね」
「うんっ!ありがとう」
燕羽の足は完治したみたいだけど、一応念の為に病院に行く事になっていた
平日なのに相変わらず混んでいる病院
ホント、いろんな病気があるんだね
ほぼ半日待って、漸く名前を呼ばれた
要するに、後回しにされたって事か?
「今日はどうされました?」
「足はどうなの?」
「ああ・・・・・完治していますね」
なんだこいつ
足も見ないで
「ちゃんと見てから言えよ」
「ちゃんと歩けるし、問題はないでしょう」
「・・・・・・・・・・・・・・病院もサービス業ってわけね」
「もう通院しなくても結構ですよ」
「金の取れる患者が優先で、完治した患者には用無しって事だろ」
「翔・・・・もういいよ、かえろ?」
「もし、完治していなかったら・・・・・病院ごと潰すぞ」
「足ぐらいで何をムキになっているのですか?歩けるのだから問題は無いはずですよ」
「こいつを最初に診察した医者は?」
「ああ、今日は休みですね」
「・・・・・・・・・・・・翔」
「わかった、行こう」
診察室を出ながら医師の名前を見た
は?
副院長、確かにそんな感じだな
あれじゃ、もう出世は望めそうも無い
どうでもいいけど、ムカついた
「お前、本当にもう痛みは無いか?」
「うんうん、平気だよ」
「そっか・・・・・」
「うん」
そして会計でも待たされた
一体、何なんだ
「遅いね」
「だな・・・・売店でも行くか」
「うん」
そのまま売店に向かうと、燕羽が言った
「ねね、あの人・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「怪我したのかな?」
「さぁな」
「でも、普通だよね・・・・・どうして病院にいるんだろ」
「知らないね」
「もう!あっ、来た・・・・ど、どうしよう」
有無の雰囲気が変わった
それだけでここにいる理由を知った
「翔・・・・・・」
「よっ!どうしたんだ?病院なんかに」
「翔はどうして?」
「こいつが怪我をしてさ・・・・・でも、もう大丈夫らしいけど」
「そうなんだ」
「大会には全力で行かないとな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・出ないよ」
「えっ?」
「陸上は辞めたんだ・・・・だから大会には出ない」
「辞めた?」
「あいつが怪我をした皆無の足を潰した・・・・絶対許さない・・・・・・絶対」
「待って!どう言う事?だって、監督でしょ?」
「僕達は単なる道具だったんじゃない?皆無の足を潰されてまであいつの言う事は聞きたくないし」
「潰されたと言うのは?」
「練習中、突然足が痛み出して・・・・・・」
「ああ」
「それをわかっていて無理矢理皆無に跳ばせたんだ・・・・そして皆無が倒れた」
「うん」
「すぐ病院に連れて行こうとしたらダメだと言われた・・・・グランドを50周するまで帰さないと・・・・だから僕は必死に走ったのに・・・・あいつは遅いと言って皆無の足を蹴ったり踏みつけたりしたんだ」
「酷い・・・・そんな事を・・・・・酷いよね?翔もそう思うでしょ?」
「だな・・・・・それで皆無は?」
「もう二度と走る事は出来ない・・・・だから僕ももう跳ばない」
無表情の有無を見つめながら話を聞いていた
「あっ、呼ばれた」
「お前が行って来い」
「わかった」
そして有無と二人になった
「あいつが言っていた・・・・翔と同じ跳び方をしたら自滅するって・・・・どう言う事?」
「さぁな・・・・・俺にもわからないけど」
「だよね・・・・・でもね・・・・今更そんな事はどうでもいいんだ・・・・・」
「どうするつもり?目標が変わったのか?」
「あいつを・・・・・殺す」
「無理だね」
「どうして?」
「あいつを殺すのは俺だから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・何それ」
「お前の悔しい気持ちはわかるよ、でもね・・・・・俺もあいつには恨みがあるからね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「皆無はまだ足が残っているからいいんじゃない?そう思え」
「でもっ!」
「お前にわかるか?屈辱を受けた上に足まで奪われた俺の気持ちが・・・・わかるのか?」
「・・・・・・・・・・・・翔」
「お前が大会に出ないのなら話は簡単だ・・・・遠回りをする必要も無い」
「どう言う事?」
「最初は、お前達に勝ってあいつのプライドを傷つけてから殺そうと思ったけど、その必要もないしね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ひとつだけ教えて」
「何?」
「翔は僕達が足を痛める事前提で教えてくれたの?」
「どうかな・・・・・でも、お前たちは天才と名のつくライバルだ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「真似をしたのはお前達だろ?俺は俺の跳び方を見せただけ・・・・違うか?」
「わかった・・・・・・もう翔には二度と会わないと思う」
「ああ」
そういい残し、去って行った有無の背中を見つめ微笑んだ
「お前達が利用されるのを阻止しただけだろ・・・・」
でも、心が痛む
やはり迷いがまだあるせいなのか?
「・・・・・・・・・・・・・・・クソッ!」
何なんだ、この気持ちは
「お待たせ!あれ・・・彼は?」
「さぁな」
「大丈夫かな」
「帰るぞ」
「うん」
すごく嫌な色の太陽だった
窓のせいかな
太陽が青く見えるなんてね
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