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どうしようかな
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「あーっ、それ俺のケーキ!」
「ぼーっとしてるからだ」
「しかもイチゴだけ食べるとかっ!」
「ケーキはケーキだろ」
「グスッ・・・・・最後に食べようと楽しみ・・・・あっ」
へぇ・・・・
やはり楓は変わったな
昔なら誰に対しても無関心だったのに、イチゴをあげるなんてね
「どうぞ」
「楓さん、ありがとう!」
「甘やかすなよな」
「いいじゃない、燕羽は泣き顔より笑顔の方がいいしね」
「ったく・・・・じゃ、和海のイチゴを・・・・」
「残念・・・帰って来たみたいだね」
「チッ・・・・」
玄関まで迎えに行くと、そのまま部屋に呼ばれた
「どうしたの?」
「今日知ったのですが・・・・・・」
「うん」
「皆無が飛び降り自殺を」
皆無が?
それも俺のせい・・・・・
「それで?」
「幸い命は助かりましたが・・・・・」
「うん」
「目を覚ます事は無いでしょう」
「えっ・・・それって」
「そういう事です」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺のせいなんだよな」
「それは考えないようにと言ったはずです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「翔?」
「ごめん・・・・・今夜はもう寝る」
「はい」
後悔はしないはずだった
全ては復讐の為だから
でも・・・・・・・皆無の笑顔はもう見る事はない
俺が仕組んだ事なのに、どうしてこんなに悲しいんだろう
「クソッ・・・・・クソッ!!」
後悔はしない
確かにそのつもりだった
でも、何だろう
この胸がつかえた感じ
吐き気がする
自分自身に吐き気がする
「翔」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「入るよ」
楓がやって来た
「ごめん、今は」
「話したくないのなら俺が勝手に話すから寝てもいいよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「翔は復讐と言う言葉に飲み込まれてしまったみたいだね」
「どう言う事?」
「最初は憎しみしかなかった・・・・当たり前だよね、大切な足を失ったうえにあんな事をされたんだから」
「黙れ!」
「最初の目的は復讐の為・・・・でも、燕羽と知り合いまたハイジャンが好きになった・・・でも昔のようには跳べないもどかしさでどうしようもない気持ちを復讐という言葉に摩り替えようとした」
「ああ、俺はもう跳べない・・・・・ふざけるなよ」
「でも、跳ばなくても教えていて楽しいと感じていたんじゃない?」
「違う」
「皆無達もそう・・・・復讐するつもりで翔は跳んだ・・・・そして二人は足を痛め、一人は二度と目を覚ます事が無い体になった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしてそれを」
「ごめんね、立ち聞きするつもりじゃなかったんだけどね」
「でも、あいつを許せない・・・・・だからあいつを殺して俺はもうこんな所から・・・・」
「フランスに帰るの?燕羽はどうするの?翔は彼を見放すの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「燕羽はペットなの?自分の都合でここに連れて来て、復讐が終われば捨てるの?」
「そうじゃないっ!」
「ごめんね、翔の気持ちはわかった・・・・・ゆっくり休んで」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺の気持ちって何だよ
復讐が終われば燕羽なんて・・・・・・燕羽・・・・・
どうしよう・・・・・俺は気付いてしまったんだ
復讐の為に罪も無い奴らを巻き込んだ
絶対に許されない事なんだ
だけど・・・・・・
復讐を水に流す事は出来ない
そして皆無の目も覚めないんだ
部屋を出て、そのまま外に出た
「今夜は新月・・・・・今夜の月は俺の味方かな」
翔は怒るだろうな
でもね・・・・・そんな気持ちのままでは間違いなく殺せない
迷いがありすぎなんだよ
それに、翔は大切な家族だから死んで欲しくはないんだ
携帯を取り出して、あいつの居場所を捜した
裏の仕事のおかげで情報はすぐに入る
そのまま携帯をしまい、あいつのいる店に向かい静かに待っていた
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「今夜は家に来い、可愛がってやるよ」
「でも、僕・・・・」
「来ないつもりか?」
「・・・・・・・・・・・・・・わかりま」
「あれ?今夜は俺との約束が先だよね?」
「誰だお前」
「違う?」
「あ、ああ・・・・・そうだな」
「だから君は帰ろうか」
「は、はい」
遠ざかる足音を聞きながら冷たく笑い、振り向いた
「どこに行く?」
「へぇ・・・・後ろ姿で想像していたが想像以上だな、そこのホテルに」
「残念だけど、お前の行き先はもう決まってるよ」
「どこだ?」
親指を下に向けて笑った
「意味がわからないな」
「奈落の底」
「何を言っているんだ」
「翔には悪いけど、わざわざ手を汚す事は無いと思ってね」
「翔だと?」
「あんたが一番理由を知っているんじゃない?」
「・・・・・・・・・・・・違う・・・あれは」
「一応いい訳ぐらい聞いてやるよ」
「確かに頼まれた・・・・・・足を潰して欲しいとね」
「翔の足はいくらで売れたのかな?」
「1億」
「安いね、ヘドが出る」
「だが、それを頼んできたのは陸連だ」
「誰?」
「伊藤と言う理事の考えだよ、他の奴らは知らない事だ」
「へぇ」
「陸上は長くは続けられない競技だ・・・・そして翔の跳び方を真似する奴らは翔が居る限りすべて自滅する、だから翔の存在が邪魔だった」
「だから?」
「翔一人の才能より、将来有望な選手を残したかったのさ・・・オリンピックの出場も翔があっさり断ったのが原因だろう」
「なるほどね、日本初の陸上の金メダルが消えたのは翔のせいってわけ?」
「あいつの跳び方は華麗で見たものを魅了する・・・・そしてそれを見た選手が真似をしたがる」
「そんなのは真似をしたそいつらのせいじゃない?」
「正直俺はどうでもよかったよ・・・・・金が欲しかっただけだ」
「じゃ、どうして余計な事までしたのかな?」
「翔をみればやりたくなるだろ?違うか?」
「本当に救い様のない馬鹿だね・・・・・」
「それで翔の代わりに俺を殺しに来たのか」
「まぁ、そうだね」
「俺は簡単にはやられたりしない・・・・・この動体視力のおかげでね」
「へぇ・・・・・そうなんだ」
目の前に移動してナイフを首にあてた
「なっ!・・・・・お前」
「動体視力なんて当てにならないね・・・・・だって俺が見えなかったでしょ?」
「・・・・わかった、金で解決しよう・・・・いくら欲しい」
「そんな汚い紙切れに興味はないね」
「1千万か?わかった、3千万でどうだ?」
「そうだな・・・・・・でも、俺お金には困ってないから残念だったね・・・それとも1億でお前の足をもらおうかな」
「や、やめろっ!やめてくれ!!」
「同じ事を翔も言ったはず・・・・・でもお前はその言葉を聞き入れようとはしなかった」
「それは・・・・・」
「いい訳タイム終了・・・・・・・じゃーね」
「ネガやテープはどうする」
「どう言う事?」
「俺が死ねばあのネガやテープは世界中にばら撒かれ、変態親父達の餌になる」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「甘いな!俺の勝ちだ!」
ナイフを奪われた瞬間、髪が地面にパラリと落ちた
「俺はプロだよ?そんな感情ぐらい制限できる・・・・・じゃ、本当にさようなら」
「ぐはっ・・・・っ・・・・・・」
髪のダリアを抜き取り、首に突き刺した
「貴様・・・・・・」
「助けてあげようか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ネガとテープの在りかと交換、安い物じゃない?」
「ううっ・・・・・わかった・・・・ここにある」
そう言って小さな鍵を渡した
「助けて・・・・くれ」
「馬鹿じゃない?殺し屋は嘘つきなんだよ」
「ぐはっ!!」
確実に急所を狙い突き刺し、返り血を浴びないように体を翻し、ダリアの髪飾りを見つめた
「この血はまずいけどね」
着いていた血が消えたのを確認して髪にさし、屋敷に戻った
「ダリアに邪念が入り込みましたね」
「好きでしょ?」
「嫌いではありませんよ」
鍵を和海に渡し、後の処理を任せた
「悪魔は金には興味ないでしょ?」
「悪魔だなんて・・・・・私は人間ですよ」
「暇なら伊藤とか言う奴も好きにしてきてね」
「おやじは手が汚れますね」
「退屈でしょ?好き嫌いしないの!」
「わかりました」
「じゃ、俺は寝る」
「はい」
ごめんね、翔
でも、復讐ばかり考えていてはつまらない生き方しか出来ないでしょ?
ちゃんと苦しめながら殺したから許してね
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