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バイト中もずっと翔の事を考えていた
頭の中は翔しかいなかった
「こんばんは」
「いらっしゃいませ」
驚いた
翔と彼がカウンターに腰掛けた
やはり今夜も二人なんだ
「今夜はワインにしましょうか」
「そうだね」
彼がメニューを見ずにオーダーしたワインは1本数十万のワインだった
すごいな・・・
お金を惜しまない人なんだ
当たり前だよね
隣に翔がいるだけで華やかになる
お金を惜しむはずが無い
しばらくグラスを拭きながら二人の会話を聞いていた
盗み聞きではないよね
でも会話の内容はやはりよくわからない
すごく難しそうな会話にも聞こえる
「ごめんね、何か好きな物を」
「えっ?」
「どうぞ」
「いただきます」
突然の言葉に慌てた
「どうしたの?」
「いえ」
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「そう」
いつもの笑顔だ
でもなんだろう
上手く言えないけど、瞳の奥は暗いような感じ
説明できないけどそんな感じがした
思わず、グラスにウオッカを注いでライムを搾った
「いただきます」
「乾杯」
強い酒を飲んだ瞬間、喉が焼けるようだった
「こらこら!学生がお酒を飲んじゃだめだよ」
「えっ?」
そう言いながら微笑み、俺のグラスに口をつけて一気に飲み干した
「ノンアルにしておいた方がいいね」
「はい」
同じグラスに口をつけた
それだけなのにすごく嬉しい
変態みたいだけどそれでもいい
「相変わらずお酒がお強いですね」
「そうかな?」
「ええ」
「和海もでしょ?」
「貴方には負けますよ」
「またまた~」
ここを離れたい
翔の傍にはいたいよ
でも、心が痛いよ
「ご馳走様でした」
「ん?」
「あちらのお客様を」
「そう、わかった」
その場を離れ、常連客の前に立った
「燕羽君、元気ないね」
「そんな事ないですよ」
「ホント~?」
「はい!」
「じゃ、飲んで飲んで!」
しまった
このお客は俺の歳知らないんだ
勧められるがまま、強い酒を流し込んだ
「いい飲みっぷり!」
「ありがとうございます~」
正直辛いかも
吐きそうだし
でも後30分だから頑張ろう
何とか仕事を終え、着替えて裏口に向かった
「気持ち悪い・・・」
思わずその場に座りこみ、壁に手をついた
「やっぱり」
「・・・・・・・・・・・翔」
「そんなに飲んで、何かあったの?」
「別に何も」
「ほんと?」
「うん」
言える訳ない
言ってはいけないんだ
「和海さんは?」
「うん、燕羽が心配だから今夜は先に帰ってもらったんだ」
「なんかごめん・・・」
「気にしなくてもいいよ、大丈夫?」
「うん・・・ぐっ!・・・・ゲホッゲホッ」
嘘だろ
また目の前で吐くとか
嫌われてしまう
「そのまま吐け」
「ぐっ・・・・うっ・・・ううっ」
「学校で何かあったの?」
「いえ」
「そっか」
「本当にごめんなさい」
「いいから、ほら」
「いいです、汚れてしまうし」
「いいよ」
そう言って手渡されたシルクのハンカチ
綺麗な刺繍が施されているブランド物
翔と同じ香りがした
「ありがとう、洗濯して返すね」
「いいよ、気にしないで」
「・・・・・・・・・・・・うん」
「落ち着いた?」
「ありがとう」
「何が原因なのかはわからないけど、無茶してはだめだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何がって」
「ん?」
酒の勢いって事に出来るかな?
何も覚えていないと言えばいいんだし、もう気持ちを隠すのは辛いよ
「どうしたの?」
「翔が・・・・現れるからっ・・・・・だから」
「俺?」
「どんなに想っていても無駄でしょ?だって翔の傍にはいつもっ・・・ううっ・・・グスッ」
「俺の事が好きなの?」
「うん・・・初めて会った時から好き」
「・・・・・・・・・・・・・・・そっか」
「ごめん、忘れて・・・ホントにごめんね」
「燕羽は気持ちに嘘はつけないんだね」
「・・・っ!」
「羨ましいよ・・・その真っ直ぐな視線と真っ白の心が」
そう言いながら俺を抱きしめた
嘘・・・・・夢なら覚めないで
「翔・・・」
「ごめんね、気付いてあげられなくて」
「ううん」
俺の始めてのキスの相手は男の人だった
でもいいんだ
とても嬉しいから
「んっ・・・っ」
「口を閉じないで」
「もう・・・んっ」
苦しいけどとても気持ちいい
絡められた舌から流れ込む唾液も甘い香りがした
もうこのまま死んでもいいなんて思ってしまった
触れたかった腕に抱かれているなんて夢のような夜だった
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