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「おわっ!」
やっべ!
疲れていたのか寝過ごしてしまった
「急がないと、仕込が」
朝食も食べずに、急いで店に向かった
やはり一人はきついな
でもバイトを雇う余裕は無い
「さて・・・今日はパスタランチにしようかな」
パスタソースを作りながら、サラダを小皿に盛り付けた
なかなかいい出来だ
あとはドレッシングだな
慣れた手つきでドレッシングを作り、漸く遅い朝食にありついた
一人で朝食を食べていると、ドアの外から中を覗いている奴に気付いた
お客かな?でも、まだ開店の時間じゃないし
でも、気になったのでドアを開けて話しかけた
「あの、開店は・・・」
「あっ、いえ・・・そうじゃないんです」
「ん?」
「俺、昨日この店の料理を食べて感動しました」
「それはどうもありがとう」
「それで・・・あの」
なんだろ?
感想を言いに来ただけでは無さそうだ
「給料は安くても・・・いえむしろいらないのでここで雇ってもらえませんか?」
「えっ・・・」
どうしよう
人手は欲しい
でも、給料は・・・・・
「でもただ働きはな」
「ホントに安くてもいいんです、お願いしますっ!」
う~ん
どうしよう
「でも、本当にそんなに給料は払えないんだけど」
「構いません」
引き下がらない・・・
困ったな
「じゃ、俺の仕事ぶりを見てから決めると言うのは?」
「ん~、じゃ・・・お願いしようかな」
「はいっ!」
はぁ・・・断りきれなかった
でも、感じのいい青年だし俺が頑張れば給料は何とかなるかな
「あの、エプロンとかは?」
「ああ、ロッカーにあるやつを使ってくれ」
「はい!」
前の店のエプロンがまだあったはず
確か新品もあったような
「これでいいですか?」
「ああ」
なかなかさまになってるし
エプロン姿の青年を見つめ、一応名前と住所を尋ねた
「家はこの近所なんです」
「そうなんだ」
「名前は朔夜と呼んで下さい」
「オッケー、俺はアサだ」
「はい、よろしくお願いします」
「よろしくな」
朔夜は飲み込みが早く、掃除も丁寧だった
「今日のランチを書いておきますね」
「頼む、今日はパスタランチだ」
「はい」
どこかでバイト経験があるのだろうか?
自分から進んで仕事をする奴は今時珍しいよな
「看板は外に出しておきました」
「ありがとう」
何だか、すごく助かるよな
「朔夜」
「はい」
「コーヒー煎れたから」
「ありがとうございます」
二人でカウンターに腰掛け、いろいろな話をした
やはりとても感じのいい好青年だ
少し内気だけど大丈夫だろう
「そろそろ開けますか?」
「ああ、頼む」
「はい」
そして今日も開店と同時にお客で埋まった
朔夜もミスすることなく仕事をこなしていた
でも、昨日よりかなり楽だ
ホールに出る事も無いので料理に集中出来た
漸くランチタイムが終わり、一息つくことが出来た
「疲れただろ?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか、じゃ今のうちにお昼を食べておけ」
「えっ?」
「まかないってやつだ」
「ありがとうございます!」
「ああ、ゆっくり食べて来い」
「はい」
朔夜に昼ご飯を作り、先に食べさせた
まぁ、残り物だけど工夫すれば十分食べられるはず
そして・・・
「ごちそうさまでした」
「えっ・・・もっと休んでいろ」
「大丈夫です、お先でした」
「そうか・・・じゃ俺も食べてくるよ」
「はい」
10分もかからないとか
大丈夫かな
「お客が来たら呼べ」
「ドリンク類は作れますので」
「そっか、じゃ頼んだ」
「はい」
確かに忙しい時、朔夜がドリンク類を作っていた
何でも出来るんだな
正直びっくりだ
どこかで経験があるのだろうか?
皿の持ち方でわかる
「大丈夫だったか?」
「はい、もう少し休んで下さい」
「いいよいいよ」
「でも」
「そろそろスイーツを準備しなくちゃいけないしな」
「わかりました」
うん・・・
皿も綺麗に洗われていた
グラスも曇り一つ無い
「あの」
「どした?」
「そろそろ紅茶を温める固形燃料が」
「まじか!」
「急いで買ってきます」
「頼んだ、ほらこれで」
「はい」
お金を渡すと急いで店を出て行った
ホントにいい子だな
このまま雇うしか無さそうだ
そして朔夜が戻って来た
お釣りとレシートをきっちり渡された
「朔夜」
「はい!」
「生クリーム作れるか?」
「頑張ります」
「じゃ、頼んだ」
「はい」
俺はケーキを焼かなきゃな
今日は木苺のタルトと、シフォンケーキにしよう
「出来ました!どうでしょうか?」
完璧だ・・・
「オッケーだ」
「はい!」
何でも出きる奴なんだな
正直驚いた
「いい匂い・・・」
「味見するか?」
「いいんですか?」
「ああ、味がわからなければ説明できないだろ?」
「はい!」
朔夜に皿に乗せたタルトとシフォンケーキを渡した
「いただきます」
「どうだ?」
「すっごく美味しいです!タルトの酸味も程よい感じですし、シフォンもとろけそうです」
「そっか、よかった」
「ご馳走様でした」
「ああ」
そしてティータイムに入り、また混んで来た
でも、朔夜はきっちり仕事をこなしていた
「ん?」
「あはっ、何か寂しかったので」
「すごいな・・・」
カフェラテに絵を描くなんてすごい
しかも器用だ
「その方がいいな、ドリンクは朔夜に任せるよ」
「はい」
そして朔夜は閉店まで仕事をしてくれていた
何だか申し訳ないな
「お疲れ!」
「お疲れ様です!」
「疲れたろ?」
「全然!アサさんの料理が食べられて幸せです」
「あははっ、おだててもオムライスしか出ないぞ」
「オムライス・・・」
「ほら、食べろ」
夜食用に作ったオムライスを差し出して頭を撫でた
「いただきます!」
「紅茶でいいか?」
「俺が」
「いいから食べてろ」
「はい」
こうして長い一日が終わった
売り上げは・・・・・20万?
驚いた
でも、この調子なら朔夜にも給料が出せそうだ
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