アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
「和海、お前はまた花を」
「どうしていけないの?お花は綺麗なのに」
「捨てなさい!」
一生懸命に摘んで来た花を叩き落され、踏みつけられた
さっきまで綺麗だった花は真っ黒になっていた
その日以来、俺は植物に興味を持たないようにした
「和海、今日は10歳の誕生日だ」
「はい、お父様」
「お前にこれを渡そう」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
それは銀色の指輪だった
子供のプレゼントにしてはおかしいものだと言う事はわかっていた
「絶対この指輪を外すんじゃないぞ」
「でも」
「いいか、念じろ・・・そうだな・・・ナイフを思い浮かべるんだ」
「ナイフ?」
どうしてそんな事を?と思いながら言われた通りに果物ナイフを思い浮かべた
「うわっ!」
「そうだ、やはりお前は特別な子供だ」
驚いた
目の前に、無数のナイフが刃を向けていたから
「お前の力は、無機質な物だ・・・例えば金属」
「金属」
「そしてお前には使命がある」
「使命?」
「自然を味方につけている人間が生き残っている」
「自然・・・」
「その人間を殺せ」
「でもっ!」
「今すぐではない・・・いずれその時が来るはずだ」
「はい」
その時は全く意味がわからなかった
指輪の意味ぐらいしかね
「会長」
「どうしました?」
「彼が木蓮の木の下に」
「木蓮」
「はい」
「わかりました、私が行きます」
木蓮の木
外には俺の力になるものは何も無い
でも、緑がある場所に必ずあいつはやって来ると信じていた
だからここで待ち続けているんだ
「翔君」
「どうしたの?会長さん」
「何をしているのですか?」
「何も」
「風邪をひきますよ」
「俺は賢すぎて逆に風邪はひかないんだよね」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「わかったよ、戻ればいいんだろ」
「送ります」
一瞬、目を疑った
彼は自然の中に溶け込んでいたから
月明かりの下、輝く金色の髪
何故か、風も無いのに木々が揺れていた
そして思い出した
あの言葉を
(自然を愛するものはその指輪を嫌う)
「行きましょう」
「ああ」
そっと肩に手をかけた瞬間、何かが頬を掠めた
「綺麗な顔が切れてるよ?大丈夫?」
「・・・・・・・・・・・ええ」
何が起きた?
かまいたちか?
いや違う・・・葉だ
地面に一枚の葉が落ちていた
「傷は深く無さそうだね」
「はい」
ハンカチで血を拭い、翔を寮まで送った
「夜は大人しくしていて下さいね」
「わかったよ」
「では、おやすみなさい」
「おやすみ~」
あれでは分からない
偶然なのかも知れないし、故意かも知れない
玄関を出て、翔の部屋を見つめた
そして
指輪をかざし鉛の弾を窓に撃ち込んだと同時に風で吹き飛ばされた
そんな・・・まさか
彼がそうなのか?
鉛の弾は普通の風では吹き飛ばせない
やはり・・・・・そうなのか?
やっと見つけた相手なのに、困惑を隠せなかった
「使命・・・か」
まだ時間はある
今すぐ決着をつける必要は無い
そんな理由を無理矢理こじつけている自分に嫌悪感が走った
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
145 / 307