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眠れないから翔の部屋に行こうとしたけど鍵がかかっていた
用心深いのはいいけど残念
まだ9時だし眠れるわけがない
「どうしようかな」
そう言えば談話室みたいなところがあったような気がする
そこで時間を潰す事にした
「無駄に広い」
談話室は確か1階
ここは3階だけど特別室だからまずは生徒がいる寮を通らなければいけない
みんな真面目だね
誰もいないし
「あれ?ここはさっき通ったような気がする」
おかしいな
適当に歩き回り漸く階段を見つけた
そのまま階段を下りてやっとたどりつく事が出来た
「見事に何もない」
仕方なくソファーに座り、置かれていた雑誌を読む事にした
ファッション誌か・・・ここでは無用だと思うけどね
ページをめくりながら悩み相談を真剣に読んだ
「好きな人が浮気をしているみたいです、どうしたらいいでしょうか・・・別れればいいと思う」
浮気をしているのならもう魅力を感じなくなったと言う事だと思うし
「二人同時に好きになってしまいました、どうすればいいでしょうか・・・二股でいいと思う」
好きには違いないんだし、どっちかを選ぶ事は無いと思うけどね
みんな小さな事で悩み過ぎ
「誰かいるのか?」
あっ・・・誰か来た
でもここの生徒じゃないから関係ない
「いるけど何か問題でも?」
「おいおい、何してるんだよ」
凱がやって来た
二人で会話した事は余り無い
「眠れないから」
「普通に驚いただろ!」
「何をしているの?」
「俺は一年の監督生だからな」
「真面目だね」
「ここに居ても暇だろ?」
「すごく」
「仕方ない、来い」
「うん」
どこに行くんだろう
監督生のくせに寮から出たし
「何か言いたそうだな」
「別に」
そのまま暗い道を歩き、白い建物の前にやって来た
「ここは?」
「音楽堂だ」
「そうなんだ」
ポケットから鍵を取り出しドアを開けて中に入った
「お前ギタリストだろ?」
「今は学生」
「じゃ、聴いてろ」
「うん」
凱はピアノに向かい、椅子に腰掛けた
「リクエストは?」
「クラシックはわからない」
「何でもいいぞ」
「じゃ、お願いダーリン好き好きぴょん」
「ぶはっ!」
「冗談だけど」
「わかった」
「えっ」
弾けるんだ
驚いたけど何だか面白い
それにすごく楽しそうに弾いている
ピアノが好きなんだな
「お前も来い」
「うん」
隣に座り、一緒にピアノを弾いた
「弾けるのか?」
「聞いた音は弾ける」
「すごいな!驚いた」
「じゃ、楓のバンドの曲を」
「うん」
俺は片手、凱は両手でピアノを弾いた
ちゃんとメロディーになってるし何でも弾けるんだ
黒いピアノに月が映っていた
何だか幻想的だな
「お礼にギターを」
「そこのアコギ使え」
「うん」
ギターを手に取り、チューニングをして弾いた
凱はギターに合わせてピアノを弾いていた
すごく楽しいし音の相性がいい
「うちのバンドに来ない?」
「残念ながらバンドは遠慮するよ」
「そう」
「俺は学生だし、ピアニストになりたいからさ」
「きっとなれるよ」
「だといいな」
話してみるといい奴だった
見かけで判断するのはよくないね
「楓ってさ」
「うん」
「もっと話しにくい奴だと思ってた」
どうやら同じ事を思っていたらしい
「俺も同じかも」
「でも、いい奴だな」
「凱もね」
別に会話を禁じられているわけじゃないし、仲良くなってもいいよね
お互い誤解も解けたようだし
「じゃ、戻ろう」
「うん」
また同じ道を通って寮に向かった
部屋の明かりは見事に全部消えていた
「送るよ」
「大丈夫」
「迷子になるだろ?」
「・・・・・・うん」
もしかして迷子になったから遠かったのかもね
部屋の前まで送ってもらい、ドアに手をかけて凱に言った
「朝まで一緒に過ごす?」
「軽い奴だな、遠慮するよ」
「残念」
「じゃ、大人しく寝ろよ」
「わかった」
少しだけ期待したけどあっさり断られた
何だかおかしなスイッチが入ってしまった
誘いを断られたのは初めてだしね
「凱か・・・」
でも、簡単には落とせそうにない
それに俺はまだ本気じゃないしね
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