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寮に帰る途中、胡月を見つけた
相変わらずここも賑やかだな
「王子~」
「止めろ」
「じゃプリンス?」
「・・・・・・・・」
「ごめん、クルミ割りのプリンスか」
「何故それを」
「幻月が来たし」
「だからいなかったのか」
「そう言う事、少し話さない?」
「ああ」
少し歩き、誰もいないベンチに腰掛けた
今日も暖かいな
すぐ夏になりそうだ
「話は何だ?」
「お前さ、楓類らしいぞ」
「何だそれは」
「楓の事どう思う?」
「どうって?」
「見た感じ」
「ああ、来るもの拒まず?」
「お前もだろ」
「そう言う意味か、成程」
「あのさ~、幻月が好きなんだろ?」
「えっ?」
「バレバレなんだよ」
「そうか」
「で、どうなの?」
「好きだ」
「でもこのままじゃ一生気持ちは伝わらないぞ」
「えっ?」
こいつも違った意味での鈍感なのか?
「まずは真面目になれ、幻月が信用するぐらいにな」
「真面目だけど」
「どこがだし!」
「・・・・・・・・・・・」
「それかもう気持ちを伝えろ、駄目でもな」
「断られたらもう行けなくなる」
「それはそれだろ?」
「お茶会のお菓子が」
「お前・・・幻月とお菓子、どっちが大切なんだ?」
「幻月」
「断られたら話が出来なくなるわけじゃないだろ?まぁ、付き合えないけど」
「それは困る」
「でもこのままだと無理だな」
「それも困る」
「じゃ、真面目になって幻月に近付け」
「近付くだけ?」
「何をするつもりなんだ!馬鹿かっ!」
「・・・・・・・」
「まずはいつものように話をすればいい」
「わかった」
「いいか、楓類には属さない事!」
「ああ」
「大丈夫かな~」
「話は理解出来た」
「そっか、まぁ頑張れ」
「わかった」
心配だな
お似合いだとは思うけど、まだ無理だな
いつか上手く行けばいいけどね
夕食が終わり、友達と話をしていると胡月がやって来た
珍しいな、ここで話しかけて来るなんて
「相変わらずの取り巻きだな」
「話がしたい」
「お菓子の注文か?」
「違う」
「話ねぇ・・・いいけど」
「外に」
「外?」
「ああ」
何なんだ?
悩みでもあるのか?
でも俺に話しても仕方ないよな
二人で外に出て少し歩いた
「月が出ていないから星が綺麗だな」
「そうだな」
「座るか?」
「ああ」
丸太に腰掛けて空を見上げた
「それで話って?」
「俺、最近真面目だと思わないか?」
「真面目?」
「色々な意味で」
「ああ、確かに部活も真面目だしいいと思うぞ」
「遊ばなくなった」
「それで?」
「それで・・・」
確かに最近こいつは真面目だよな
部活も真面目だし私生活も乱れていない
「だから、どうして俺に報告するんだ?」
「だよな」
「ああ」
「もっと真面目になったら俺を見てくれるか?」
「毎日見てるけど」
「そう言う意味じゃなくて」
「ん?」
「俺がどうして毎日お前に会いに行くのかわかってるのか?」
「もちろん!」
「どうして?」
「お腹が空いたからだろ?」
「えっ・・・違っ」
「違うのか?」
マジか
ずっとそう思ってたけど
じゃ、どうしてだ?
謎過ぎるな
「お前に会いたいからだ」
「いつも会ってるだろ、同じクラスだし」
「そう言う意味じゃなくて」
「友達だからか?でも教室では余り会話は無いけど」
「基本、お前の友達と俺の友達はタイプが違うしな」
「だな」
確かに全く違う
胡月の場合、下級生の方が多いしね
「そう言えば」
「何だ」
「どうして着付けが出来るんだ?」
「子供の頃から着ているし」
「ああ、お前の家はそうだったな」
思い出した
こいつの家は茶道の家元だったな
けっこう大きな流派だと聞いたけどよくわからない
「じゃ、花は?」
「叔母の家が華道の家元だから」
「成程ね」
そう言う事だったのか
俺はいつも一緒に居ても何も知らなかったんだな
「他に聞きたい事は?」
「聞きたい事?」
「ああ」
「ん~、じゃ好きな花」
「桔梗かな」
「俺も好きだな、花言葉知ってる?」
「・・・・・・・」
「知らないのか」
「永遠の愛だ」
「へぇ~、何だかロマンチックだな」
「そうだな」
「お前の髪の色も桔梗色だな、でももう少し薄いけど」
「・・・・・・・」
何で黙るんだ?
何か気に障る事でも言ったのか?
「他に聞きたい事は?」
「えっ・・・じゃ、好きな食べ物」
「和食が好きだけどオムライスも好きだ」
「そうか」
どうしてまた黙るんだ?
一体何が話したいんだろう
「他には?」
「そうだな・・・う~ん」
思いつかない
どうしよう
「ちなみに、俺の好きなタイプは黒髪で料理上手な人だ」
「へぇ、お前なら見つかると思うぞ?モテるしな」
「それからパン作りが上手な人」
「うんうん」
「優しくて誰とでもすぐに仲良くなれる人」
「きっとどこかにいるだろ」
「身長は170ぐらい」
「おいおい、女の子にしては背が高いな・・・でもお前も高いしいいんじゃないか?」
「それを全てまとめた人がいる」
「何だよ、じゃ問題無いだろ?お前をフル奴なんかいないから安心しろ」
「本当にそう思うか?」
「ああ、思う!」
「絶対?」
「フル方がおかしいだろ?まぁ、性格はあれだけど」
「性格を直せば?」
「100%間違いない!」
「そう思うのか?」
「俺が言うんだから間違いない」
「その言葉に責任を持てるか?」
「大袈裟だな・・・まぁ、持つよ」
「わかった、幻月」
「何だ?」
「お前が好きだ、俺と付き合って欲しい」
あれ?
俺もしかしてすごい事を言ったとか?
「はい?」
「俺のタイプを全部確認してみろ」
「確認?まず黒髪で料理上手でパン作りが上手くて誰とでも仲良くなれて身長が170・・・ええっ!」
まてまて!
まんま俺じゃないか!
何故気付かなかったんだ?
ずっと女の子だと思い込んでいたし
「100%なんだよな?」
「うっ・・・」
もう半分脅しだよな
「責任持つんだよな?」
「それはだな・・・」
言葉が見つからない
そうだったのか
今初めて気付いたし
「時間をくれ」
「わかった」
責任だけで返事が出来る問題じゃない
俺だってどうしていいのかわからない
余りにも突然すぎて動揺の方が大きい
でも、返事を考えるしかないよな
どうしよう
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