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今日は土曜日
俺はまだ悩んでいた・・・服が決まらない
「幻月~、いる?」
「翔か、入れ」
「うん・・・もしかしてお出かけ?」
「だな」
「この服の山は?」
「服が決まらない」
「デート?」
「ばっ!違うよ」
「胡月でしょ?」
「・・・・・まぁな」
「デートじゃないならすぐ決まるんじゃないかな~」
「・・・・・・・・」
確かに正論だ
なのに俺は朝からずっと悩んでいる
「どれがいいと思う?」
「俺ならそのグレーのやつ」
「やっぱりそう思うか?」
「うん、デザインがいい」
「わかった、じゃ下は?」
「それに合わせるならこれかな」
「わかった、そうする」
「で、何をするの?」
「映画だな」
「そうなんだ」
服に着替えながら時間を見た
まだ大丈夫だな
「何か用事だったのか?」
「胡月が下でずっと誰かを待っていたからもしかして幻月かなって」
「えっ?いつから?」
「1時間前かな」
「嘘だろ・・・」
出掛けるのは10時のはず
急いで髪をセットしたけど気に入らない
焦れば焦る程上手く行かない
「大丈夫だよ、落ち着いて」
「だな」
出来た
後は財布とハンカチと・・・
「デートじゃないのに念入りだね」
「なっ!」
「じゃ、楽しんで来てね~」
「ああ」
確かにいつもより念入りかも知れない
服だって何でもいいはずなのに
「おっと、急がないと」
慌てて部屋を出て玄関に向かうと人が集まっていた
これだから困るんだ
あいつから何かのフェロモンでも出てるのか?
声をかけにくいしどうしよう
階段を下りると胡月に腕を掴まれた
「バスに乗り遅れる」
「あ、ああ」
困る前に助けてもらったらしい
「走らないのか?」
「歩いても間に合う」
「はい?」
「よく似合うな、その服」
「ありがとう、お前もよく似合ってるよ」
やはりこいつは紫が似合うな
今日は薄い紫だけどシルクだな
いくらするんだろう?
そんな事を考えながらバス停に向かい、バスに乗った
「後ろに」
「だな」
人はまばらだけど俺達は一番後ろの席に座った
と言うか、どうしてこんなに近いんだ?
余裕はあるはずなのに近い
でもいっか、離れるほどじゃないし
バスで駅まで1時間
昨日眠れなかったからすごく眠い
この揺れ具合が丁度いい眠りを誘う
「着いたぞ」
「んっ・・・ごめんっ」
「俺は嬉しかったけど」
「・・・・・・・」
思い切り肩にもたれかかって寝ていたらしい
焦って眠気も飛んでしまった
今度は電車に乗り換え1時間半、そこからまた乗り換えて1時間
本当に都会は遠いな
「疲れたか?」
「いや、大丈夫だ」
「そうか」
しかし、どこに行っても目立つ奴らしい
仕方が無いけど隣にいる俺は何だかみじめだ
「お前が一番可愛い」
「それを男に言うかな」
「お前にしか言わない」
「はぁ・・・」
でも、その言葉にすくわれたかも
もしかしてすごくいい奴なのかも知れない
だけど可愛いは無いだろ・・・
「おっ、街が見えて来たな」
「だな」
都会って感じの景色は久しぶりだ
嫌いじゃないけど一人で来ようとは思わない
「降りるぞ」
「わかった」
あ~、人混みだ
こういうのは苦手だけど胡月が俺を上手に誘導してくれた
おかげで誰ともぶつからずに済んだ
「都会の匂いだな」
「都会の匂い?」
「人と車の匂いって言うかさ」
「成程」
そのまま人混みを避けて歩き、映画館に到着した
「着いたな、俺飲み物買って来る」
「わかった」
でも映画館だしやはりポップコーンもだな
ポテトも美味しそうだし、悩む
「飲み物を買いに行ったんじゃないのか?」
「悩んでたらつい買ってしまった」
「お前らしいな」
そう言って微笑む胡月に一瞬見惚れてしまう俺がいた
おかしいぞ
今までそんな事は無かったのにどうしてしまったんだ?
「行くぞ」
「ああ」
そして映画館で観るホラーがこんなに怖いとは思わなかった
何度抱き着いたか考えるだけで恥ずかしい
「ホラーで正解だったな」
「めちゃ怖かったし!」
「そうか?」
「そうだよ!ゾゾってしたし」
「俺はお前にゾクゾクしたけど」
「黙ろうか」
恥ずかしい事を思い出したら顔が熱くなって来た
「何か食べようか」
「いいけど帰りのバスが」
「何だそれ」
「えっ?」
「誰が日帰りと言った?」
「マジか・・・」
「部屋は別々にするから安心しろ」
「わかった」
確かに日帰りは無理があり過ぎる
そうか・・・泊まるのか
着替え持って来ていないな・・・ってその考えがおかしいだろ!
「幻月は何が食べたい?」
「そうだな、お前は?」
「何でもいい」
「じゃ、中華にしよう」
「わかった」
そして連れて来られた店が明らかにおかしかった
確かに夜景はよく見えるけど高級店だろっ!
「お久しぶりです、胡月様」
「二人だ、大切な人だからメニューは任せる」
「かしこまりました」
おいおい・・・常連ってやつなのか?
「どうした?」
「知ってる店なのか?」
「そうだな」
「そうか」
「気に入らないのなら店を変えるか?」
「いや、いいよ」
いくら持って来たかな
明らかに高そうだけど
そして出て来た料理も豪華すぎた
美味しいけどアワビって・・・ツバメの巣って・・・
「美味しかったな、干しアワビって美味だよな」
「もういいのか?」
「ああ」
「わかった、じゃ行こう」
「会計は?」
「いつも払わないけど」
「へっ?」
「気にするな、俺が誘ったんだし」
「いやいや!」
「母親がやってる店の一部だから」
「マジかっ!」
「今日は全部俺に任せろ、いいな?」
「・・・・・・でも」
「いいよな?」
「わかった」
「それでいい」
「ご馳走様、すごく美味しかった」
「そうか」
その後、何故かゲーセンに向かった
その間、胡月はいろいろな人に声を掛けられていた
「どうした?」
「モデル事務所とホストのお誘い」
「ホストって・・・でも何となくわかるかも」
「俺はお前だけのホストでいい」
「真顔で言うな!」
そのままゲーセンに入り俺はクレーンゲームに向かった
「なっ!おいおい」
そして思い切りはまっていた
でも取れない
持ちあがるけど落ちるし
「どれが欲しいんだ?」
「あのうさぎかな」
「成程、代われ」
「うん」
大人しく見ていた胡月が今度はやるらしい
でも無理だろ、もう2千円つぎ込んだし
「嘘だろ・・・」
「どうぞ」
「ありがとう」
複雑だ
なんで一発で取れたんだ?
「見ていてコツがわかったし」
「えっ」
「これは体を持ち上げるものでは無く耳に引っ掛けて落とすんだよ」
「そうなのか・・・」
「ああ」
大きなうさぎを抱えてる男は俺だけだな
でも嬉しい
その後もたくさん遊んで久しぶりに楽しい夜を過ごした
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