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音楽祭はとても盛り上がった
俺も楽しかったし久しぶりに興奮した
「そこ違いますね」
「はぁ・・・」
俺はと言うと、その興奮が収まらないまま地獄の特訓を続けていた
「翔は筋がいいですね」
「どうも!」
そりゃね、毎日3時間も特訓してたら嫌でも上手くなるっての!
「しかしよくこんなものを」
「家にありましたので」
「ありそうだけどさ・・・」
これで何をさせたいんだ?
訳が分からない
「ちなみに和海も賭けを?」
「はい、生徒会全員翔に賭けました」
「マジかよ・・・」
「そこをもう一度」
「はいはい」
聞き逃さない奴だな
確かに音を外したけど
ホントに止めたい
学園祭を無くしたい
心からそう思った
「頑張ってるな~」
「だな」
「お前も出るんだろ?」
「出るだけだ」
「出るだけね」
「俺は翔に賭けたし」
「俺はお前に賭けたんだぞ!」
「じゃ、残念だな」
「マジかよ」
音楽室から聴こえて来る音色を聞きながら手を休めた
「何故肩に腕を回すんだ」
「したいからだ」
「今更聞いた俺がバカだった」
「だな」
後輩にもバレてしまったし今更か
「おい、腕を」
「何故?」
「そろそろみんなが来る」
「気にするな」
「お前なぁ~」
そしてみんながやって来たのにこいつは・・・
「胡月さん、相変わらずですね」
「まぁな」
そしてもう慣れているこいつらも何なんだ
「今日は何を食べたのですか?」
「まだだな」
「と言うか部活は?」
「後で」
「仲がいいですね~」
「いい加減にしろ!何も作れないだろ」
「わかった」
やっと解放されて料理を作り始めた
「何が食べたいんだ」
「何でもいい」
「困るんだよ」
「じゃ、お前・・・痛い」
こいつ、馬鹿じゃないのかっ!
「うわっ、その菜箸重いし痛いのに」
「いいんだよ!」
「重い菜箸で思いついた、冷麺がいい」
「はい?お前はいつも突然すぎるんだよ」
「出来ないのか」
「出来るよ!待ってろ」
「ああ」
冷麺ね・・・
材料があるんだよな、これが
「じゃ、僕達はグラタンを」
「ああ、わからない所があったら言えよ」
「はーい!」
「手伝うよ」
「いいから大人しくしていろ、お前が動くと余計に時間がかかる」
「わかった」
こいつは本当に不器用だ
料理は特に駄目らしい
野菜を切らせると指を切るし、オーブンで火傷はするし
心配で何もさせられない
「出来たぞ、食べたら部活に行け」
「わかった」
「お前達もじっと見ていないで手を動かせ」
「つい・・・見惚れてしまいますよね」
「だよね、着物姿で冷麺だし」
「何を食べていても絵になると言うか」
こいつらは・・・
「ご馳走様」
「ああ」
「じゃ、部活が終わったら迎えに来る」
「わかった」
寂しいけど仕方が無い
片付けながら窓の外を見つめた
「胡月さんていい匂いがしますよね、あれは何ですか?」
「ん?」
「匂い?シャンプーか?」
「違いますよ、他の香りです」
「ああ、何だろうな」
「知らないんですか?」
「気にしなかった」
「相変わらず鈍感と言うか・・・」
「うるさいぞ」
確かにいい香りがしたな
香水じゃないしなんだろう
部活が終わり、胡月を待っているとドアが開いた
「お待たせ」
「ああ」
二人で中庭を歩き、胡月に尋ねた
「あのさ、香水とかつけてる?」
「いや」
「着物の時の香りは?」
「茶室で香を焚くからじゃないか?」
「なるほど」
そうだったのか、知らなかった
確かにそんな香りだな
ひとつ勉強になったな
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