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ここでの生活が長いと、何かと面倒な相談をされて面倒臭い
しかも毎回くだらない相談ばかりでうんざりだ
人間は贅沢を覚えると更に贅沢をしたがるのが悪い癖だな
シャワーがお湯になっただけでもありがたいというのに、今度は労働を軽くしたいとか食事に注文をつけるとか・・・
そんな事、俺ではなく直接言えばいいのに直接言う勇気は無いとか・・・・いい加減にして欲しい
溜息をつきながら部屋に戻ると、燕羽が隅で震えていた
「どうした、そんなに寒いのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
部屋の中は特に変わった事は無さそうだが・・・・・
んっ?新人か・・・・・こいつも寒いのか?
でも、様子が何となくおかしい
「燕羽、何かあったのか?」
「・・・・・・・・・・・・俺・・・部屋変わりたいよ・・・・ねぇ、変わりたい」
「それは無理だろ」
「こんな所にいたら頭がおかしくなるよ・・・・お願い・・・何とかして」
「落ち着け、一体何があった」
「・・・・・・・・・・・・・・グスッ・・・・ううっ・・・・・」
「燕羽」
ダメだな
泣いているばかりでらちが明かない
「うるさいよ・・・・・」
「ひっ!!」
何だこの怯え様は
今朝まで翔に喧嘩を売っていたはずなのに
「彼はここが刑務所だと言う事を忘れているのでは?」
「・・・・・・・・和海」
「所長が新しくなって多少人間らしい生活が送れるようにはなりましたが所詮虫けら以下の罪人と言う事をお忘れではないのですか?ましてやその罪人の意見など通るわけも無い・・・・そしてここは食事付きのホテルでも無い」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「前からずっと思っていました・・・・」
「何をだ」
「貴方のその見て見ぬ振りをする態度です・・・・そして人から慕われるその上辺だけの優しさが本当に笑えます」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほら・・・・また何も聞かなかった振りをする」
「俺はまだ人生を諦めたくないんでね」
「もう同じ逃げ台詞は聞き飽きました」
「お前と言い争いはしたくない」
「相変わらず寂しい事を言いますね」
「もうその手には乗らない・・・・何度もその笑顔に騙されて来たからね」
「その結果が無視と言う事ですか」
「そう思ってくれても構わない」
「相変わらずつまらない人ですね」
翔は黙ってこのやり取りを聞いているに違いない
俺を挑発してもその手には乗らない
「もういいだろ・・・・・」
相手にするだけ無駄だ
こいつの微笑みに今まで何度裏切られてきた事か
殺したいと何度考えた事か・・・・・
だが翔の存在が余りにも大きすぎた
「何があったのかは、そこの新人さんに尋ねてみたらいかがですか?」
「・・・・・・・・・・・・・そうするよ」
「では、おやすみなさい」
こいつらは二度と信用しない
でも、今は何があったのかを知るべきだな
薄暗い部屋の隅でうずくまる奴の肩に手を置いた瞬間、悲鳴を上げた
「ぎゃーー!!」
「これは・・・・・」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・・もうしませんもうしませんもうしま・・・・」
ダメだな
もう狂ってる
血だらけの手とえぐれた眼球を見て想像がついた
「止血するから手を」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん・・・・あはっあはは・・・」
「燕羽、押さえていろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「燕羽!」
「う、うん」
怖がる燕羽に血だらけの手を持たせ、手首を硬く縛った
怯えている燕羽には少し可哀相だが、こう言う事に慣れていかないとここでは生きて行けない
「凍傷を起こしているな・・・・何故だ」
「・・・・・・・・・・・液体窒素の中に手を・・・・ありえないよ・・・・そんな事を笑いながら・・・ゲームに負けたからって・・・・ううっ・・・」
「そうか」
相変わらず残酷な事を・・・・・
昔から変わらない
特に翔とのゲームはデスゲームに近い
何を考えているのかがわからないから余計に恐怖だ
綺麗な顔をして心を許した途端に悪魔に変わる
そういう奴だ
「ゆ、ゆ、指は・・・・窓から」
「どちらにせよ縫合は不可能だ・・・・それにこいつはもうダメだろう」
「えっ?」
「特別な房に明日移動になるはずだ」
「特別な?」
「・・・・・・・・・・・・とにかく今夜は隣に寝ろ」
「うん」
そう
全てこの二人に狂わされた人間が収容されている特別な房
でも、ここから出られないのなら狂ったほうが幸せかも知れないけどね
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