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「楓、シャワー行こうよ」
「うん」
水は嫌だけどお湯なら問題は無いかな
お風呂はないけど、別にいいや
「俺、シャワーの時間が一番好き」
「そうなの?」
「だって、温かいし」
「そうだね」
「そのまま寝ちゃえば寒さで眠れない事もないでしょ?」
「うん」
「おかしいよね、こんな場所にいるのにそれがすごく嬉しく感じてしまうんだから」
「寒いしみんな嬉しいと思うよ」
「だよね?」
「うん」
そう言えば、俺が来た時よりも周りが静かになったみたい
それにみんなの顔つきも穏やかだし
「どうしたの?」
「殺伐とした空気が消えたなって」
「うん、俺もそう思う」
「人間扱いされるとそうなるのかもね」
「かもね」
食事もまともになったし、シャワーもお湯が出るようになった
きっと、これからも色々と改善されて行くのだろう
でも・・・・・
性欲だけはどうしようもないけどね
「どうしたの?」
「何でもない」
「そか」
「うん」
燕羽や氷龍は性欲とか無いのかな?なんて聞けない
「楓」
「ん?」
「あのね・・・今夜からまた隣に寝てもいい?」
「シーツと毛布は支給されたんじゃないの?」
俺のベッドの上に、新しいシーツと毛布が置かれていたし
「そうなんだけど・・・・あはっ、やっぱり迷惑?」
普通に話しながら作る笑顔は歪んでいた
「いいよ、寒いしね」
「ホント?ありがとうっ!」
燕羽となら一緒に寝ても大丈夫だと思った
何となくだけどね
でも・・・・・・・・・・
「ふぅー、気持ちよかったね」
「うん」
二人で部屋に戻り、ベッドに腰掛けた
「早く寝ちゃお?」
「そうだね」
別に起きていても仕方が無いしね
そのまま横になろうとした瞬間、燕羽の顔が引き攣った
「ひっ!」
「?」
ベッドに近付いて来たのは翔だった
どうしたんだろう
「あのさ」
「俺?」
「そう、楓に話しかけてるの」
「うん、どうしたの?」
「お風呂・・・どうして入らないの?」
「えっ?」
「これからはずっと入れてあげるって言ったよね?」
「そうだけど・・・・・お湯が出るし悪いかなって」
「ずっと入れてあげるって約束したよね?」
したかな・・・・したかも知れないけど
「でも」
「じゃ、行こうよ」
「えっ?」
「お風呂」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
嫌がらせ?
でも・・・・・・・顔は笑顔だ
「燕羽、こっちに来い」
「う、うん」
燕羽はそのまま視線を合わさずに氷龍のベッドに行って潜り込んでしまった
氷龍には震えていたのがわかったのかな
「今日はもうシャワーを浴びたから明日・・・」
「行こうよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
これで断ったらきっとしばらく話もしてもらえないかもね
「わかった」
「和海、行くよ」
「はい」
そしてやはり和海を外に待たせて二人でお風呂に入った
だったら和海と入ればいいのでは?と思ったけどね
「ねぇ・・・・楓」
「うん」
「明日も俺と一緒に入ろうね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「嫌?」
「わかった」
「ちゃんと温まってね」
そう言いながら、肩を押さえつけて微笑んだ
でも、これは優しさではない
すぐにわかった
「翔・・・・熱い」
「駄目だよ、俺を待たせた罰」
「えっ?」
「お前は俺が待っていたのに犬ととシャワーに行ってしまっただろ?」
犬?
燕羽の事?
「犬じゃなくて燕羽だよ」
「反論?」
「それに、待っていたなら一言声をかけてくれれば」
「同じ事を何度言わせるの?」
「熱っ」
このお湯、何度あるんだろう
すごく熱くて肌がヒリヒリする
「ごめんね、明日からは一緒に入ろう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「翔、ごめん」
でも、もしかして翔はすごく純真なのかも・・・なんて思ってしまった
どうしてかな
約束したと言って待っていてくれたからかな
「眠る時寒く無いように温まらないとね」
「・・・・・・・・・・・・・・それって」
「何?」
「燕羽とはそんな関係じゃないよ」
「関係ないよ・・・・・俺はあの犬が気に入らない、お前は俺の物だろ?」
「・・・・・・・・・・・うん」
「楓が悲しむから何もしないだけ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「でも、俺はいつまでもそんなに優しくはない事は理解しようか」
どうしよう
その言葉を聞くだけですごく嬉しいけど・・・・・怖い
「だけど、俺が懲罰房から戻って来た時無視したよね?」
「当たり前だろ?」
「当たり前?」
「その時間はおやつの時間だから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
それって、ケーキの方が大事って事?
まさかね
「楓は舐めても甘くないけど、ケーキは甘いし」
「・・・っ!」
そう言いながら唇を舐める翔に一瞬ドキッとした
「それって、俺よりケーキが好きって事?」
「どうかなー」
「翔・・・・・」
「ケーキより甘い時間をくれたら考えてもいい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
その時、もし頷かなかったらどうなるのかな・・・と考えてしまった
本当に俺の事が好きなら・・・・・
「今日はやめておく」
「・・・・・・・・・・・・・・・あそ」
「翔?」
「勘違いするなよ?」
「えっ?」
「お前は俺の物だけど、好きだとは言っていない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺を試そうとするなんて、なかなかやるね」
「・・・・・熱っ」
俺の周りだけ熱い
さっきより温度が上がった
「先に出る」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何で?
立ち上がろうとしても足が動かない
「俺を少しだけ怒らせたね?」
「翔!」
「じゃーねー」
そして肌が真っ赤になる頃、漸く足が動くようになった
でも、軽い火傷をしたらしい
日焼けみたいな感じで全身がヒリヒリする
体を拭くのも痛かった
歩くのも辛いのは、足の裏にも火傷をしたから
何とか部屋に戻り、ベッドに横になったけど痛くて眠れない
こう言う地味な痛みには慣れていないから辛い
今なら裸で雪の上に寝たいなんて思える程体が熱を持っていた
夜中になって、肩を叩かれて痛みで声を出しそうになった
「どうした?」
「氷龍・・・・」
「眠れないみたいだが、怪我でもしたのか?」
「そうじゃない」
「そうか・・・・・起こして悪かったな」
「ううん」
そう言いながら小さな紙切れを渡された
何だろう
部屋は暗くて文字が読めない
でも、気になる
どうせ眠れないし、しばらくして起き上がりトイレに向かった
そして握りしめていた紙切れを開き、薄暗い明かりで何とか読んでみた
そこに書かれた文字は簡潔だった
ただ一言
(翔には逆らうな)と書かれていた
確かにそうかもね
でも、このままでいいのかな
確かに翔の事は好きだけど、言いなりになってばかりのような感じだしね
それじゃまるで、飼い主とペットみたいな感じだしそれは何となく嫌だった
溜息をつきながらメモを握り潰し、トイレに流して部屋に戻った
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